あっちの世界ゾ〜ン第壱夜「あなたはだあれ」

イカ太郎さん談


みなしゃん、座敷童はご存知ですね。

地獄先生ぬーべーでも出ていて、イカ太郎は大好きです。

私は"わらしちゃん"と呼んでますが。

なんでも、この子がいる家は栄えるとか、

いつのまにかみんなの遊びに紛れ込んでいるんだとかいわれています…。


イカ太郎が鈴蘭台に住んでいた、小学生のころです。

布団にはいって電気を消しても、まだ眠くありません。

なぜなら、その日はとっても充実した、遊びまわった日だったのです。


みなさんも覚えがありませんか?

出来ればいつまでも今日が終わってほしくない。

でもかなわない話。

そう考えると寂しくなってしまうほどに…。

「あー今日は本当に楽しかった。あいつらと遊ぶと楽しいな。」

暗闇に目を開け、眠ってしまう前のひとときをかみしめています。

目をつぶると友人達の顔が浮かびます。


「俺、XXに、○○、それから……あれ?」

一人足りない…。

4人いたのは確かなハズなのに…。

かくれんぼ等をやったのだから、人数は確かに覚えているのに、どうしても思い出せない…。


ガバッ!!


暗闇の中で起き上がり、もう一度ゆびを折りながら数え直します。

「俺」、「XX」、「○○」、……………わからない。

「えっ、えーーーーと…」

顔は思い出せるのに名前が…出ない。


チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチ

暗闇の中、小さな時計の音だけが聞こえます。

…当時、恐い話で喫茶店で人数分より1つコップが出てきた話が浮かんできます。…


「まさかぁ…」

強がりながら、再度布団にねっころがり直します。


「でもぉ…まさか……。」

「誰だったんだろう…あいつ…。」

今日、ほんの数時間前の出来事をまた思い出そうとしたその時、

フワッとした感じが頭の辺りを中心に何かが抜けていく感覚が走りました。


「なっ?なんだ??この感じ…変!!」


変な感じが抜けきった時、さっきまで思い出せた映像がおかしくなりました。

問題の一人の部分だけが急速に、にじんでゆく感じです。

「なっ、なんで????だめだ!忘れるな!!」

…だめでした。

もう、完全に思い出せなくなりました。



次の日、学校で友人に「昨日遊んだの何人だった?」と聞いたんです。

友人は当たり前のように「4人」と答えましたが、彼も1人が思い出せませんでした。

気にはしていなかったようで、この話はそのまま流れてしまいました。





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