あっちの世界ゾ〜ン第参夜「幽体離脱?」

奥村紀子(真名)さん談


現実と幻の見分けが未だにつかない経験です。

確かなのは、偶然が重なりすぎてしまったことですね。

偶然が重なると必然になる、と誰かがいいました。

とりあえず、書いてみて、読んだ方の判断にまかせます。


北枕で寝ると幽霊に出逢う、と友達にいわれ、私は南枕で寝るようになりました。

といっても、どっちに枕が向いてようが、どうでもよかったんです。

どうせ、寝相の悪い私のことだから、起きたら北枕だった、なんてことは珍しくないしー

そして、南枕で寝るようになったその日。

布団に入って、「おお、眠くなったぞー」みたいな感じになった頃でした。

ドン!

顔のすぐ横で叩くような音がしました。

まるで、魂をゆさぶるような音に、私はすぐ目を覚ましました。

起きると、全身汗でびっしょりなんです。

そして、時計を見ると、10時。

布団に入ったのは9時です。

そんなに眠った気はしていません。

それから、毎日続きました。

あまり続くなので、枕を東・西にかえたりします。

そうすると、ピタリとそれはやみました。

(おかしいなー、なんかにとりつかれてるわけでもないしー)

再び南枕にすると、やはり続くのです。

それも、だんだんと慣れてきた私は、

枕の方向を変えるのもアホらしくなって、南枕で寝るのが定着しました。

南枕にして何年もたった時でした。

奇妙な夢を見ました。

雲の上で私が遊んでいるんです。

しかも、雷がびしばしと轟いている時に。

夢だと思っていた私は、気にしず雲の上へ上へと昇っていきました。

そして、雲がなくなってしまいました。

(つまんないなー、このまま宇宙にでも行こうかな)

そんなことを思っていると、突然、誰かに腕を引っ張られました。

誰だろう、と見てみました。

とても、綺麗な女性が雲の上に立っていました。

しかも、服装が妙なのです。

絵本で見た天女みたいな格好をしているんです。

彼女は、とっても怖い顔をしていました。

私は、とても悪いことをしていたんだ、とこの時思いました。

何に対してなのかはわかりません。ただ、「ごめんなさい」、と彼女に謝りました。

すると、彼女はにっこりと笑いました。つられて私も笑います。

そして、彼女は私の肩に手を置く、と見せかけ、おもいっきり私を突き落としたのです。

ドン!

いつもの音で起こされました。

やはり、寝てから一時間しかたっていません。

そして、遠くの空では雷が鳴り響いていました。


それからは、時々しか、ドン! という音はしなくなりました。

さて、これは夢なのでしょうか、現実なのでしょうか。

やはり、わかりません。


おしまい





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