あっちの世界ゾ〜ン第九夜「詰め襟学生服鎌」

健康優良児さん談


詰め襟学生服(前編)

昨年、僕の親戚のお兄さんが結婚しました。

そして式も終わり、我が家で親類一同集まって食事をしながら団欒の時を過ごしていた時に

そのお兄さんから聞いた恐ろしい話を聴くことが出来たのでその話を紹介させて頂きます。


話がわかり易いように登場人物に仮名を使用させていただきます。

A・・・(親戚のお兄さん)

B・・・(友人)

C・・・(友人)

D・・・(友人)


Aは大学に通ってた頃は、自宅から近いこともあり自宅通学していました。

しかし大学でできた友人B,C,Dは地方から来ていたので

大学の寮で寮生活をしていました。

その大学の寮は古い木造の2階建てで、住居人数も管理人の老夫婦をあわせても

10人前後の小さな寮でした。

そしてその寮には少し不可解な出来事が毎日の様に起きていました。例えば・・・


お昼頃2階の住人が洗濯物を取り込んでいると1階から管理人が呼んでいる。

用件は電話が入ってますとの事(寮には電話が1つしかない為)下に降り電話をすます。

それで2階に戻って洗濯物の取り込みの続きをしようとすると既に

全ての洗濯物が取り込まれ、かつ全て綺麗にたたまれている。

しかし下に降りたのは1分にも満たない。

周りの住人に聞いても誰も部屋に入っていない・・・


夜中の2時頃になると決まって寮中を歩き回る足音。

扉を開けると誰もいない。

時として各部屋をノックする音。もちろん誰もいない・・・


ですから寮に住んでいる学生は夜中の1時頃になると皆で

24時間経営の珈琲ショップに行き早朝まで時間を潰すのが恒例になっていたそうです。


もちろんB,C,Dも例外ではなく夜中は大抵外にいたそうです。

ところがある日AがB,C,Dを誘い、

「Cの部屋で麻雀しよう。今日の夕方寮に行くから。」

といって麻雀大会をしようと言い出しました。

B,C,Dも夕方からなら別にイイという事でCの部屋で麻雀大会が始まりました。

しかし結果はAの一人負けとなってしまいました。

とうとうAは

「今日は徹マンだ!おまえら勝ち逃げは許さんぞ!」

と言ってやめようとしません。

時は過ぎていき夜中の1時になりました。

他の部屋の連中がCの部屋を訪れ、

「オイ。おまえら1時になったぞ。いかねえのか?」

と誘いに来ました。

B,C,Dは残るのが嫌でしたがAがこの調子でしたので仕方なく

残って麻雀する事にしました。

ところでこのAはもちろん寮の噂を知っていましたが全く怪奇現象の類は

信用しない男でしたので、全く気にする様子はありませんでした。


そして2時が来ました。

・・・後編へ。


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詰め襟学生服(後編)


「とんとん」

どこからとも無く音がしました。

B,C,Dの3人はびっくりして怯えだしましたがAは

「気にするな。なんか物が当たった音やろ?」

と全く気にしませんでした。

しかし、

「とんとんとん」・・・「どんどんどん」・・・「どんどんどん!」

徐々に音が大きくなっていきます。

これはただ事ではないとやっとAも思い、音のする方をよくみました。

それはカーテンの向こうから窓を叩いている音でした。

「どん!どん!どん!!」・・・「だん!!だん!!だん!!!」

今にもガラスが割れる勢いで何者かが向こうからガラスを叩いております。

しかしCの部屋は2階です。

B,C,Dはすっかり怯えてしまいましたがAは、

「誰かのイタズラじゃね〜か?よし確かめてやる」

と言って窓の方に歩み寄りました。

そしてカーテンをサッと引きました。

ちなみに寮の窓ガラスは全て、すりガラスになっており向こう側はぼんやりとしか見えません。

もちろんCの部屋も例外ではありませんでした。


ガラスの向こうに何者かがいます。

黒い服装の何者かが大きく腕を振りかざして窓ガラスを叩いています。

「オイオイ冗談だろ?これ誰かのイタズラだって!!くそっ確かめてやる!」

Aは窓ガラスを思いっきり開けました。

「うわわあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

そこにいたのは詰め襟の学生服でした。

いや詳しく言うと学生服を着た人間でした。

但し首から上がありません。

その学生服を着た人間は腕を前後に振り、窓を叩く動作を繰り返していました。

宙に浮きながら・・・


B,C,Dはすっかり腰の抜けたAを抱きかかえ一目散に外に出ました。

そして寮の外から2階のCの部屋の窓を見ると部屋の中からそいつが

こっちの方に体を向けていました。

4人は珈琲ショップまで全力で走って行き、他の寮の住人に事情を話しました。


朝、皆でCの部屋に行きました。

ガラっと窓が開いている以外なにもおかしくはありませんでした。

しかしCが窓を閉めたとき窓にしっかりと手形が2つありました。


A(親戚のお兄さん)はそれ以来、幽霊らしきものを見たことが無いそうですが

「あれは完全に幽霊だった。」

と言っています。

いまでも彼が何者だったのかはわからないそうです。

B,C,Dの3人も体に異変はないそうです。

しかし親戚のお兄さんは今でも夢の中で首なしの学生服の彼が

腕を振っている映像を見るそうです。

なおこの寮は6年前に取り壊されたそうです。


長々と読みにくい文を書かせて頂きました。

要所要所、見にくい文面があると思いますがお許し下さい。

読んで頂きありがとうございました。





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