信あっちの世界ゾ〜ン・第十九夜「本物と偽物」
三堂りあるさん談
| 僕の大学の友人の話です。 少し状況が異常で、あまり公言すべきものでもないと思うのですが、 実際にこんな事があるということで、書き込ませてもらいます。 本人のプライバシーの保護ということで名前はもちろん仮名です。 僕の友人、水瀬は実に付き合いのいい友人だ。 その日も自分のサークルのコンパをさぼって、僕たちの男だらけの飲み会に参加してくれた。 酒が回ってなかなか盛り上がってきた頃、友人の金平の携帯が鳴った。 どうやら友人からのようで、僕らは興味がないのでつまみの追加をしていた。 すると、金平が僕の背中をつついて話かけてきた。 「おい、三堂。なんか変なんだよ」 「どうしたの?電波の入りが悪いの?」 「違うんだ。電話、木原からなんだけど・・・」 木原は僕、金平共通のクラスメートであり、水瀬とも友達である。 「木原、○○サークルのコンパに友達づてで参加しているんだって」 「ふーん。それで?」 「水瀬が今日参加する予定のコンパだろ?」 「そうだね。じゃあ、木原は水瀬の分の人数合わせで呼ばれたのか」 「なんか、コンパに水瀬がいるんだって」 は? 当の水瀬は僕の目の前で梅酒を飲んでいる。 「冗談は止せよ。水瀬はここにいるだろ?」 「木原によるとあっちのコンパにもいるんだって。水瀬が」 「木原、酔っぱらって見間違えてんじゃないの?」 「木原が言うには、向こうの水瀬が挨拶してきたらしいぜ。”俺が水瀬だー”って」 僕らの目の前に水瀬がいて、 別の場所で開かれているコンパにも水瀬が参加しているということだった。 普通ではない。 だが、酔っぱらって思考力が低下していた僕らは当の水瀬を含めて この不可解な事件について科学的な解明を試みた。 ・推理1:グレイが水瀬に化けている ・推理2:おそらくプラズマ ・推理3:水瀬の父親の隠し子が出てきた(本人は怒って否定していた) ・推理4:水瀬のアリバイ工作 ・推理5:実は水瀬はもう死んでいる ・推理6:これは誰かの夢 本当はもっと沢山あったのだが、こんなことを話しているうちに夜も更け、 どうでもよくなってしまった。 事の異常について気がついたのは翌日の昼になってからだった。 後日、木原にくわしいことを聞くと 木原が出会った水瀬はコンパの終わり、会計の時にはいなくなっていたらしい。 そんなところが水瀬そのものだった。 水瀬は死んだりはしていない。 就職活動はしてないが元気だ。 水瀬本人はコンパには参加していないと言っている。 木原が遭ったのは水瀬の「ドッペルゲンガー」だったのではないかと僕は考えている。 とにもかくにも、不思議な事件だった。 それ以後、水瀬が二人に分かれる話は聞いていない。 聞いていないだけで、分かれているかもしれないが・・・・・ |
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