あっちの世界ゾ〜ン第三十七夜「目覚めたときに見えた手」

眠いわさん談


いつも楽しく読ませていただいてます。

私自身は霊感など皆無に等しいのですが、それでも『あれは、もしや・・・』

と思う経験があります。

単なる気のせいかもしれませんが・・・



これは妹の体験ですが、その場には私も、私の母もおりました。

あれはもう何年前のことでありましょうか。

私はまだピッチピチの女子高校生で

(といっても今時の子のようにおしゃれでもなんでもなく、制服のない都立高校だったのを

いいことに、服なんぞに金かけてたまるかとばかりにラフな安物ばかりを身につけて、

すっぴんで通学しておりました。でもこういう子が大半でしたが)、

妹は中学生でございました。

おそらく土曜日から日曜の朝にかけての深夜のことと思われます。

私はそのころから休日は思いっきり夜型人間で(そして未だに続く悪習慣)、

そのときも思いっきり夜更かしをしてまんがなどを読み散らかしておりました。

なぜか、その夜にかぎって母も一緒に夜更かししており(未成年の悪習慣を

矯正しようとしない不届きな親です)、二人でとりとめもない話をしておりました。

妹はすぐとなりの和室で、(当時はふすまをはずして、私達のいる居間と

妹の寝る和室は間にしきるものがなにもない状態だったので)

ピアノのいすを置くことでかろうじて顔にかかる居間のあかりを遮って、

私と母の話声などおかまいなしに熟睡しておりました。

しかし、明け方の4時頃だったでしょうか、

妹が急にうなり声のようなものをあげ、うなされだしたのです。

私と母はそれに気付くと話をやめ、(それまで妹が眠っているあいだに

こんなふうになることはなかったので)心配になって私は妹を揺り起こしました。

妹は目が覚めると、「ああ、夢かあ・・・」とホッとしたようでした。

「なあに、あんた、どんな夢みたのよ」

と私が笑いながら聞くと、妹は

「校舎みたいなとこでね、誰かにずっと追っ掛けられて逃げてるの。

教室に逃げ込んで、息を潜めて隠れてたんだけど、みつかっちゃって、

その子(おっかけてきたのは子供だったようです)が教室に入ってきたのよ。

その子が近付いてきて、『つかまる』と思ったらあんたに起こされた」と言うのです。

「あらあ、それじゃ私に感謝してよね」

とおかしくて笑っていた私を凍らせたのは次の一言。


「でも、起こそうとして私の肩を揺すってたあんたの手とは別に、

私の手の上に子供の手が見えたんだよね、さっき・・・」


それじゃあ、私や母に少しでも霊感があれば、

妹の上に子供の霊を見ることができたんでしょうか?

単に妹が寝ぼけて見た錯覚かもしれないですけど・・・


でも、妹は中学のころ、少しおかしかったんです。

寝言はわりとしょっちゅうのことでしたし(でも前述のようにうなされたのは一度だけ)、

やはり私が夜更かしして起きてたとき(このとき母は寝てた)、

いきなりむくっと起き出して、すたすた歩いていくから(トイレかな?)と思って見てたら、

玄関の方に出てドアノブに手をかけてかぎをあけようとしたんで、

あわてて「どこ行くの?まだ真夜中よ!」

と止めたことがあったし・・・あのとき私が起きてなかったら、

妹はどこに行っちゃったんでしょうか。

そのときは妹は、「学校行かなきゃ・・・」とつぶやいて、

私に制止されるとすぐふとんに戻って、再び熟睡してましたが・・・


当時は某中規模の高層団地の一番北側の部屋に住んでました。

ある程度の高層住宅ってどこもそうだと思いますけど、飛び下り自殺する人が

絶対いるから、霊的な何かがあったのかもしれない、なんて勝手に考えてます。

ちなみに私の住んでた6号棟では、私の知る限り、4人は飛び下りた人がいました。

他の棟も合わせたら2桁は行くと思います。


そしてつい4時間前に飛び下りがあった現場の真ん前を、

朝一人で通って学校へ行ったけど、何もなかった霊感ゼロの私・・・





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