あっちの世界ゾ〜ン第四十弐夜「絵は怖い」

かおりんさん談


今回はこっちで起こった体験を書きます。

アメリカに来て間もないころ、私はあるお宅にホームステイしていました。

私にあてがわれた部屋は、いわゆる半地下。

でもすごく広く、自由気ままに暮らせそうな雰囲気でした。

これぞカントリー調の部屋って感じで、ウキウキしっぱなし。

ただ、一つだけ気になることが…

その部屋に飾ってあった老人と女の子の絵が、やけに目に付くんです。

その絵ですが、女の子と彼女のおじいさんらしき人がボートに乗っている、

ただそれだけなんです。

おじいさんの表情がすごく温和そうなのに対し、

女の子はやけに大人びてなんとも表現しがたい感じ。

絵の色合いといい、もっと心が温まるようになってもいいはずなのに、

この絵を見た友達すべてが不快感を訴えていました。


ある晩のこと。

私がベットで寝ているとやけに足元が重いんです。

こりゃやばいかもしれない。 

そう思うといても立っても居られなくなり、

無我夢中でベットから起きあがり枕もとのランプをつけました。

それでもなお、その何かがいるんです。

この恐怖心を拭い去るべく、部屋の明かりをすべてつけようと立ちあがった瞬間。

ガク〜ン!!!

私はその場に倒れこんでしまいました。

私の足は、長い間正座をした後に起こるようなしびれを感じていました。

何度立ちあがろうとしても腰がぬけたような状態になり、立つことすら出来ません。

あせりにあせりまくっていましたが、人間窮地に立つとなんとかなるもので

何とか部屋中の電気をつけることが出来ました。

だんだんしびれが取れてきたと思いきや、今度は激痛が私を襲いました。

倒れこんでいる間にどこかにぶつけたようで、足の親指のつめがはがれて血だらけ。

結局その日は一晩中起きていました。


私は今でも、あの絵の少女の仕業だと思っています。





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