あっちの世界ゾ〜ン第八十五夜「奇妙な家」

Lelielさん談


こんにちは、Lelielです。

少々遅くなりましたがこの間申しておりました奇妙な体験をカキコさせていただきます。


小学校高学年のころのことです。

私の親友藤野(仮名)は当時母親の新聞配達の仕事(夕刊のみ)を手伝っていたので、

彼女と遊ぶときは私も一緒に夕刊を配りに行きました。

彼女の新聞配達のルート上にその奇妙な家はありました。


そこへはいつ新聞を届けに行っても新聞受けは一杯で何日分もの新聞や広告が詰まっており、

カーテンが開いていることのない家で、配達時にその家の住人に顔を会せたことはありません。

家自体は天然の石で垣根が作ってありかなりの豪邸なのですが、

何処となく異様な雰囲気がしたのを覚えています。

でもまぁ子供のいない家で、家の人も忙しくて夜遅くにしか帰ってこないのだろうと思って

私も親友もそんなに気にしなかったのですが…。


それはある冬の夕方すっかりあたりが暗くなってから二人で配達に行ったときのことでした。

私たちは、その家の二階の窓から明かりが漏れている事に気付きました。

「こんなことって初めてだね、今日はこの家、人がいるんだ。」

そう話していたのですが、漏れてくる明かりをしばらく見ているうちに奇妙な事に気付きました。

カーテン越しに見えるその明かりは蛍光灯の白い明かりではなく、

不規則にその明かりの色を変えていました。


「暗い部屋でテレビでも見ているのかな…。」私は藤野にそう話し掛けました。

しばらくして藤野は答えました

「いや…どうもなんか変だ。

だって、テレビってあんなにころころそれも紫や黄色や赤なんかに変わるっけ?」

「う〜ん、でもほらビデオ見てるのかもしれないじゃん、ホラーものとか…。」

玄関にたどり着くと新聞受けは一杯のままでした。

「…なぁ、帰ってきてるのに新聞受けが何で相変わらずの状態なんだ?」

「…きっとズボラなんだよ。」

私はなんとなくその光に釈然としないものの、このときはそう決め付けてその家を後にしました。


その家で奇妙な明かりが漏れてくるのを見た数日後…

その日もやはり私は親友藤野の新聞配達に付き合っていました。

そしていつもどうり、その家に配達にやって来ました。


「藤野、今日は確かに人が居るみたいだよ。だって障子の入ってる一階の窓が明るいから。」

「うん、でもやっぱり新聞受けは一杯のまんまだね(笑)。」

「…ほんとにズボラなのかな?(笑)」


そんなたわいの無い会話をしながらポストに新聞を押し込み、

私たちはその家を後にしようとしました。

そのとき藤野がその障子に映る人影に気付きました。


「Leliel、あの障子に人影が映ってるよな?」

「え?あぁ、そうだね。」

「なんか変じゃないか?。」

「…下半身…映ってない…。」


その障子には上半身の影だけが宙に浮いた状態で映っていました。


「…やだな、なんかにさえぎられてるんだよ!きっとそうさ!!」

「でもそしたら、そのさえぎってるものが影になるはずじゃないか?」

「…っ、じゃあ何なんだよあれは?!」

「知るか!」


そうこうしている内に窓に映る影は窓辺に近づいて来ているらしく、

徐々にその大きさを変えていました。


「…やばい藤野、こっち来るみたい。」

「とにかくここから離れよう!Leliel後ろ振り返っちゃだめだよ。」


私たちは全速力でその場から離れました。

決して振りかえらずに走りました。

後ろから追いかけてくる気配がしばらくしていましたが…。


次の日、藤野は母親に新聞配達のルートを変えてもらいました。

彼女の母がそのことで文句を言ってましたから事情はなにも言わなかったようです。

(しかし、変えてもらったルートのほうが性質の悪いものだったのですが…)


そして今でも、その家はそのままそこにあるそうです。





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