あっちの世界ゾ〜ン第二十九夜「白い靄」

ちゃるさん談




東関東自動車道路。いつも夏に合宿ゆくのに通ります。

成田を過ぎるとさびしいですよね。

いつも変だなと思うのは成田→潮来はさびしい感じなのに、

逆方向の潮来→成田、東京方面は全然平気なのは、なぜ?

行きは夜で帰りは昼だからかな?

この前の夏、CDも飽きたし、他のテープってかけたら「怖いはなし」だった。

トランポ運転してるTは超こわがりなので

「なんでそんなあんたの車に怖いテープ(しかも稲川淳二)??」

「いや、妹がたぶんいれた」とのことで、聞いてたら。

活き人形の話思い出して、最初の方の高速走ってたら、

高速の塀の上に活き人形が乗ってる話。

「で、こんな話があったよね」

「ちゃるさん、やばいです」後部座席のKが言った。

やばいかもしれない。途中から少しやばい気がしていた。

なんでわしらのトランポの回りにだけ、もやがあるんじゃ。

「なんで、なんで怖いこと言わないでくれー」とT。

あんたに錯乱されるのが一番怖い。

「とにかくテープ止めましょう」

「いや。止まらん」ストップを押しても、出てこないのだ。

ほんとだってば。白いもや、はますます濃くなっている。

「じゃ、次のPAで止まりましょう」

「持つかな?」「大丈夫でしょう、たぶん」

K君のアンテナの方が確かなので、多分平気だ。

ひゅんひゅん、ライトが飛んでく、おいおい飛ばすなってば。

「いや、怖いんで」「わしらの方が怖い」

こんなときに霊より野犬が怖いMがいたらな、Mは別の車だ。

たぶんずーっつと先にいる。数分後、大栄のそばのPA。

はでに滑り込んでドアを開ける。テープは、むーんがちゃ。止まった。

からまってるじゃない。からまったら普通、再生するかい?

さっきまで「樹海の怖い話」してたんだよ。

とにかくテープは止まった。トイレ以外何もないPA。売店は閉まってる。

何かもっと怖い。ゾンビに囲まれそうなシチュエーション。

振りかえるとKが、まじな顔で言った。

「もっとやばいです。早く出ましょう。」そうだね。もやが増えてるし..。

「行くよっ。早く運転して!」

「わーなんでなんでですか。行きますけど、怖いのやですよ」

とにかく、無事に目的地に着いたんだけど、

途中でMの車(Zくん羽根つき多い日も安心)を一度追いこしていた。

「おまえら、何飛ばしてんだって思ったぞ。でも何か車体の色が

白っぽかったから違う車かと思って、パッシングしたけど気がつかなかったか?」

「PAにもいたんだけど」

「あーあのPAね。何にもないとこ。売店しまってるし、トイレしかないしすぐ出た?

うんうんおれらもすぐ出た。だってなんか変だったし、雰囲気あったよね。

ビデオとかでゾンビに囲まれると良く似合う感じ」


あとで、Kは何がやばかったのか聞いた。

私は白いイレギュラーなもやが形になってゆくのが、やだった。


「もやは、やっぱりいやでした。ついてきてたし。

あと、良くある話なんですが..。

俺の後ろのは機材じゃないですか、でも誰かが席を押したんです。」







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