あっちの世界ゾ〜ン第二十参夜「どうでもよい話」

英海苔さん談


こんばんわ。はじめまして。

毎度毎度このあっちの世界ゾーンを楽しみに生きている英海苔です。

”あっち”かどうか自分でも解らないのですが、この気持ちを伝えたい思いで書きます。

あれは、私が保育園の頃でした。その当時、英海苔は父親から調教を受けていました。

父という人は、仕事となると有能(?)な人だったが、子供の扱いは全く無知でした。

理屈の通らない子供は、父にとっては”未知”のもの。

父曰く、理屈が解らない者は体で覚えさせろ!

・・・サーカス団のライオンと同じく英海苔は調教されましたとも。

鞭のかわりにベルトでビシバシと。その日の夜も、父は英海苔に「恐怖」によって調教した。

「英海苔、子供が早く寝ないとオバケがやってきてさらうんだぞ。。。」

夜の寝床の上で、子供に絵本を読んで寝かしつけるという優しさを省いた父は言った。

純真な子供は、「やばいっっ!全身全霊をこめて寝なければーっっっ!!」と思うわけですよ。

ここまで必死になる理由があるんです。英海苔の家は”墓地”に面している。これです。

物心ついた時に、庭の向こうは墓地だった。あっちの世界が目の前に。。。

当時寝ていた場所は一階の庭に面した部屋で、両親と一緒だった。

英海苔は部屋の端っこの窓側に寝ていました。

夢みがちだったもので、

夜中に目が覚めたら首締められるとか、体がいうこと聞いてくれないこともしばしば。

子供ながらに庭の向こうにある建築物に恐怖を抱いてた訳です。

「寝ろ!寝るんだ!眠れっっ」

そう思っても緊張して眠れない。・・・そのうち、英海苔は、ボーッと窓の方の障子に

外の電灯によって映る、植えてある植木の影を眺めていました。

障子に映る影の形は風によって揺れ、気味の悪い生き物のようにみえます。

「・・嫌だな・・・。なんだか人の顔に見える・・。」

そう思った時、障子は音もなく開いた。

ばんっっ!と出てきたものと言えば、全長50cmぐらいのぼろくっさい、どっかで見た様な人形でした。

市松人形だったらよかったのに。

どこかの手芸の好きな人が作った人形(偏見)という感じだったんです。

ちりちりの毛糸の髪、ドアノブのカバーのような帽子、適当ワンピース(しかし目はない)。

それでも英海苔はびっくりしました。「なんだこれはっ!」

しかもその人形はいきなり勝手に、

お遊戯発表会並みのへたくそな振り付けで激しく踊り始めてしまいました。

まるで舞台にいるみたいに。

「こいつはやばいやつだ!」

速攻で判断した英海苔は、助けを求めた。

誰に?もちろんお隣の布団で横になってる父親に! 

「とーちゃんっ、こいつ何とかしてくれーっ。」

恐怖でもうどうにも止まらない幼児、

英海苔にとって、父はマジンガーz、ウルトラマン。父出撃いいっっっ。


・・・父、爆睡。


「だめだっ、こいつは!」

また速攻で判断した英海苔は、自分で戦ってみました。

掛け布団で思いっきり人形をはたいたのです。

バサッ

その攻撃で、手芸的人形の頭から帽子が転げ落ちました。

次の瞬間、踊り狂ってた人形は、パッと動きを止め、慌てふためいて転げ落ちた帽子を拾いました。

そして取ったかと思うと、礼儀正しく一礼して、逃げてしまいました。

気づくと、障子は元の様にしまっていました。勝った。何だか訳わかんないけど。。

そうして英海苔の思考はフェイドアウトしました。

今になって思うと、この出来事は幼い英海苔が恐怖のために見た幻覚か夢じゃないかと思います。

きっとあっちの世界を読んでるみんなも体験したことがある不可思議な思い出というやつです。

そう感じるのは、開いた障子の方の窓は石格子がある窓であるということだから。

障子が開いて、人形が出たとき、あるはずの石格子はなかった。=夢をみたんだ。

このように英海苔は現実を前向きに処理しようと日々努力してます。

だから、ふと夜目覚めたとき、部屋の片隅に着物きた女の子がいるのも、

真しっろいお手手がたくさん壁から床からイソギンチャクのように揺らめいてんのも、

ベランダで何かもの引きずってる音がするのも、

「幻覚、幻聴、気のせい気のせい。

困るなー。墓が目の前にあるからって想像力豊かになちゃったよ。」

今では健康で何も感じない日々・・だと思います。

ところで何でこんな怖くもない話をしたかというとですね、いいたいことは一つなんです。

英海苔がこんな幻覚みたのも、全部全部全部全部!・・・奴(父)のせいだと。

子供を恐がらせておいて、お前は爆睡か。爆睡してんのか。

人形の幻覚なんかより、奴の爆睡モードが入った背中だけが強烈に忘れられない。

自分は自分で守んなくちゃね、やっぱりね。


・・・奴は英海苔を助けなかった。(大文字)


ただこのどうにもできんトラウマを話してみました。

長々とメール書いてしまってすいません。

これからもあっちの世界ゾーンの読者として死ぬほど怖い話期待して読ませてもらいます。

いたこさん、がんばって長生きしてくださいね。





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