あっちの世界ゾ〜ン第九十弐夜「幽体離脱体験」

RENさん&ちゃるさん談


「幽体離脱体験」 RENさん談


じ、実は一度あるんです。

いつか 此所に書こうと思っていたのですが。

めちゃくちゃ怖かったのです。このまま、あの世へと旅立つかと思いました。

あれは父の初盆の夏。かれこれ14年前になります。

RENはすでに日本を離れており、初盆のため一時帰国しました。

時差ボケのせいで 変な時間に寝てしまったので、夜中がんがんに目が冴えてしまいました。

弟に無理矢理 話し相手になってもらいましたが、

彼は2時頃眠れぬ私を見放し寝室へ行ってしまいました。

本来なら自分の部屋で寝るのですが、調度 両親の寝室を母専用の部屋に改築中で

その母が私の寝室を使ってたのですでに「よそ者」の私は一人リビングで寝るハメに。

仕方なく 本を読んだりしたのですけど、

それにも飽きて 取り合えず電気でも消せば眠れるんじゃないかとやってみました。

1時間程経ったでせうか、いろんな怪奇現象が起こり始めました。

まずは、リビングの真上の改築中の母の部屋を何者かが歩く音がするのです。

改築中の為、板が剥き出しの床を左から右へギシギシギシ...

今度は右から左へと戻って行きました。

予想もしてなかったこの「ギシギシギシ...」に度肝を抜かれ、

私の全神経は天井に釘づけとなりました。

左から右 右から左と 書きましたが、左は二階の廊下へと出るドアのある場所。

そしてドアから5、6歩出れば下へ降りる吹き抜けの階段、

つまりはRENのいるリビングへとルートされているのです。

「お願い!来ないでよー...」と心から願いましたが、無情にもドアの開く音がして

「ギシギシ...」は「パタパタ...」つまり、廊下のカーペットを踏む音へと変わりました。

ここまでくると もう準備するしかありませんでした。

私は目を瞑って見ないように構えました。

ところが、その「パタパタ..」は階段を降りずにそのまま二階の廊下を直進したのです。

弟の部屋の方向。

「あの馬鹿!お姉様を怖がらせようと ない頭で考えやがって!」

私はこのような子供騙しな手に乗った自分を笑ってしまいました。

しかし、そうやって笑っていられたのも束の間、「パタパタ...」は

階段を降りる「トン、トン、トン...」へと変わりました。

信じられませんでした。

その音のしている階段とは一階の改築で作られた私の居るリビングから吹き抜けている

階段ではなく、弟の部屋の横からはじまる、

居間の一部と合わせてセカンドルームと化してしまった今は無き「階段」でした。

つまり、「前に階段があった所」を何者かが降りて来るのです。

亡くなった父だと思いました。

父は改築前に他界してしまったからです。そう思ったら、突然 足音が消えました。

(すみません、長いのでブレイクします。題名まで行きつかないぃぃぃ。)


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「いかん、いかん、やっぱり 寝てしまおう...。」と ほとんど意地で寝ようとしました。

その時です、突然 体がふわっと持ち上がりました。

今度はなんなんだーっと半狂乱になりましたが、

容赦なく私の体は上へ上へと上がって行きました。

その上がり方が、うーん..どう説明したらいいのか、 少し降りては再び

ふわっと横に揺れながら上がるというか舟を漕ぐような、ハンモックを揺するような...。

目を開ける勇気はありませんでした。

なんせそのような上がり方なのでどれ程高く上がったのかも検討もつきませんでした。

せめて確かに上がってる事だけは確かめようと

胸に置いていた手をずらして床を触ってみましたが何も手に触れるものはありませんでした。

そんな事をやってる場合でもなく、益々上へと上がって行く恐怖心はひどくなるばかり。

このまま「あの世」へと旅立つには余りにも理由がない、なんとかしなければ!!!

とあせりにあせって 「お、お経だ。それしかない!」と閃いたのですが、

普段からの信仰心もない私がこのような極限状態で空でお経をあげられる筈もなく、

しかし 選択の余地もないので取り合えず知ってる限り

(「アーメン」も般若心経に参加させ)を唱えました。

すると、不思議な事に揺れていた体がピタリと止まったのです。

「やったじゃない。偉い!私!!」と心底喜びましたが、その後 空中で止ってる事数分...。

いつになったら降りるのか、ひたすら待ち続けるその数分の長く感じられこと。

再びお経を試しましたが何事も起らず。

ふと閃いて「ここは落ち着いて何か違う事を考えるしかない」と

自分が置かれてる状況を全く無視した思想に専念しました。

学校の宿題の締め切り日や友達に借りたビデオを家に置いたまま日本に来た事やら etc。

すると 再び舟を漕ぎながら体が下へ下へと降りて行きました。

足にタオルケットが触れたので床に戻った事を知りました。

(私は四六時中 目を瞑っていました。)

が!!

安心したのも束の間、私が着地したそのすぐ右隣から今度は人の「寝息」がするのでした。

目を開けましたが、

天井を見つめたままで横を見て右隣のその人を確認する勇気まではありませんでした。

その「寝息」は年寄りの、多分 おばあさんのものでした。

私の右半分の神経は過敏になり、そのせいかおばあさん?の

寝息が私の髪にあたる程近い事を知りました。

ひたすら 微動だにせずそれが終わるのを待ちました。

長く感じましたが時間はわかりません。

ついに「ふーーーーー」と深い溜め息のような寝息を最後にそれは止まりました。

「お次は...」とひたすら用心して待ちましたが何事も起こらなかったので

電気のスイッチの位置を頭の中で確認してから猛ダッシュ。

寝ていた所を振り返り見ましたが、誰もいませんでした。

後は弟の部屋で寝ました。


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「幽体ってなんだろ?」 ちゃるさん談


>RENさま

幽体離脱の話おもしろかったですう。なんか怖いことですね。

高校生の頃文庫の「魔法入門」とか読んで、幽体離脱の訓練法とかが書いてありまして。

ちょっとやってみたのですが、

思いのほか「意識は覚めていながら完全な脱力をする」が難しく断念しましたです。

幽体ってなんでしょうね?エクトプラズムは何かと同じくらい不思議です。

幼児期に一度だけ幽体離脱?らしきものをしたのですが、熱にうかされた夢かもしれません。

はしかで高熱のおりなんかすっと軽くなり、イメージ的には顔だけ

私の勾玉状のものになって、天井近くの電灯のそばをくるくる回っていた記憶があります。

顔を天井の木目に近づけてね。

祖母が様子を見に来て、あわてて引き戻したらしいです。

それというのも部屋に祖母が入ってきたとき、天井にいた私は気がついて

「おばあちゃん おもしろいよ」と近づいた覚えがあります。

話し掛けたのに気がつかずに、というか、一瞥したとたんにあわてて

私の本体の方をかかえた瞬間、それからの記憶がないからです。

戻ってこれたら、やってみたいと思います。


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「ちゃるさま」 RENさん談


>ちゃるさま

幽体離脱って一歩間違うと「いきなりあっちの住人」ってのが怖いですね。

ただ、私のあの体験から申しますと 自分が霊体になった事で すでに霊体になった人と

同じ空間にいた気がします。

それとも 普段も同じ空間を利用してるのになんにも感じないのに

あの時ばかりは当然の存在を認識したのかも。

お盆でしたので翌日お坊様が来たので「質問、質問!」と質問責めにしたのですけど

「お盆ですから」と一言でしか答えてくれませんでした。


余談:私の父は生前それは熱心は仏教徒でしたが

我々家族を巻き込む事なく一人で仏教してました。

それもあって私は何教かすら知らなかったんですけど、後に真言宗だったとわかりました。

それも 父の導きかのような真言宗との出会い。

命日に友人の勧めで写経をし、

ハワイ中のお寺に持って行きましたが何処でも気持ち悪がられました。

ところが諦め気分で最後に行ったお寺の和尚様にスゴク誉められ、「お経を上げてあげるから

中へ」と言われお寺に入ったところ父の持っていた物と同じ弘法大師様の絵がありました。

お経の後、この和尚様は「学生の分際で偉そうな事をするな!

参考書でも買いなさい!」と怒って御布施を私に叩き返しました。

「きゃー!なんて失礼な坊さんなんだ!」とその時RENは憤慨しました。

翌年 再び命日にそのお寺に出向き、自分で稼いだ金だと説明し御布施を出したら

今度は頭を深々と下げて受け取ってくれました。

すごい感動でした。

見返したつもりで御布施を出した自分が恥ずかしくなりました。





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