あっちの世界ゾーン第五十壱夜「ワラ人形」

信長波平さん談


実話ですっっっっっ!!!

あれは私が高校二年のときでした。

当時私達三人は、毎週のように山のロッジを借りて、酒と食べ物を持ち込み、

恋や夢なんかについて、語りあっていました。


その日は金曜日のでした。

私達は学校が終わるといつものように、駅で私服に着替え、酒と食べ物を買い、

奥多摩のロッジに向かいました。

ロッジに着くとさっそくビールを開け、ペチャクチャ喋り、たしか2:00を回ったくらいのことです。

『いつもの所行こうぜ』、友人の一人が言い出しました。

いつもの所とは、ロッジからすこし山を登った所にある神社のことで、

そこから街が見下ろせ、とても綺麗な所でした。

20分ぐらい歩き神社に着くと、石段の上から..


『コーン.....コーン..』


と音がきこえます。

実はこの時点で私達は何となく予想がついていたのです。


『まさか......なあっ?』、


とりあえず、私達は面白がって登っていきました。

しかし、私達が見たものはとてもやば〜い雰囲気でした。

さすがに白い着物着て、ろうそくを頭に付けてはいませんでしたが、

御神木にわら人形をククリ付け、木の周りをろうそくで囲み、

ピンクのカーディガンに黒っぽいスカートをはいた女がキズチでコンコンやってました。


『にげよっ.......』


私は呟きました......そして私達が階段を下りようとしたその時!


『一つ積んでは父の為〜 二つ積んではははのため〜』


思わず大爆笑してしまいました。


『それは水子の歌じゃぁぁぁぁぁ〜』


私は声を出してしまったことに後悔し、振り向くと、案の定こっちを見ていました。

そして彼女は、ゆっくりとその場に倒れ込み泣き始めました。

とりあえず私達は全速力で逃げました。


『邪魔してすまんっっっしっしかし、それじゃ呪はかからんぞぉぉぉぉ〜.』


ロッジに帰ってから大論争になりました。


『呪って人に見られたら失敗なんだろ?』

『なんか悪いことしたな...』

『謝った方がいいんじゃん?』

『呪邪魔してごめんなさいってか?馬鹿じゃないの?』

『いや切実な問題として、自殺されたらいやじゃん?』


というわけで私達は謝りに行くことになりました。

ところが神社に行く途中の道で会ってしまったのです。

私達は焦り、


『さっさっきは、すいません!』

『..................』無言です。

『邪魔するつもりは無かったんです。』

『.............』

『またやりなおせばいいじゃないですか?』

呪をか?何言ってんだ?

『.................』

『他人のすることに興味ありませんし、誰にもいいません』

『...............』

『あんだ?てめ〜、謝ってんだろ〜が!なんとか言えよ!』

友人はキレました。

ほとんど逆ギレ状態。

『.........』

それでも無言です。

『だいたいな〜俺達が見ても見なくても失敗なんだよ!

てめ〜が歌ってたのは、水子の歌だろ〜が!根本的に間違えてんだよっ!』

すると彼女は、にま〜っと笑うと、


『いいのよ....おろさせるためにやってるんだから....』


『のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜』


次の瞬間私達は全速力で逃げだしていました。

彼女の言った言葉の意味はわかりませんでした。

しかし、とてもオゾマシイ話を聞いたような気がして、恐くて恐くて、

今でも彼女の言葉の意味はよくわかりません、

なんとなく分かる様な気がするのですが、あまり考えたくありません...

いたこ28号さんはどうおもいます?

とりあえず彼女はちがう世界の住人だったのでしょう......。





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