辛あっちの世界ゾ〜ン・第十四夜「父の話」
RENさん談
父が亡くなって割りとすぐの事でした。 夢の中の私は屋台の花屋さん (そんなのってないだろうけど)でバイトをしていました。 透明の硝子瓶にお花をアレンジしていたところ、後ろからすっと手がのびて来て 私のアレンジしたばかりのお花を指で水の中に押し込む人がいました。 振り返ると父でした。 父はニッコリ微笑み、「お花は水の中の方が綺麗ですよ。」と言いました。 父に会えた感動で胸が一杯になり、もっとお話ししたいと思いましたが、 何を話せばいいのか分からず、ただただ涙が溢れました。 そうこうしている内に父は 「じゃぁ、もう行かなければなりません」と立ち去ろうとしました。 ここで父を放したら、もう会えない気がした私は父に抱きつき 「行かないで下さい!」と背広にしがみつきました。 少し困ったような笑顔で「K(弟)が大学に受かったんで、 『おめでとう』って言ってあげに行きます。」と言って父は消えました。 その瞬間目が覚めた私は妙に五感が はっきりしていて、今のが夢だったとは思えなかったんです。 特に腕に残った背広の感触、それと鼻に強烈に残った背広の防虫剤の匂い...。 不思議だったのは父の言葉使いでした。 生前、言葉使いの荒い父が使った丁寧な言葉...。 この話以外にも命日やお盆に父の夢をよく見たのですが、 共通点はこの「丁寧な言葉」なのです。 何度も書くようですが、生前の父を知ってる者には想像を絶する事なのです。 数日後、母からKが第一希望の大学に受かった事を告げられましたが 「うん、お父さんに聞いた。」と言ったら、母は驚いていました。 |
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