あっちの世界ゾ〜ン第参夜「私の幽体離脱体験」

ニコニコトシチャンさん談


1986年の2月の路面も凍結する様な寒い日、

新潟市内を仕事で移動中だった私の車に、坂道を凍結のため

停止出来ずに飛び出して来た2トン車が側面から激突して来ました。

私が運転する車は民家のブロック塀と2トン車に挟まれ、

新車で受領して4ヶ月しか経たないのに廃車になりました。


すぐに警察や会社に連絡し、事故処理を行いましたが、その時には身体に

異常は感じず、怪我が無かっただけでも幸いだったと思っておりました。

しかし、1週間ほど経過した頃、仕事で天井裏によじ登ろうとしたところ、

左腕に力がこもらず落ちそうになってしまい、どうも腕がだるくて仕方なく、

翌朝には左手の親指、人差し指、中指が痺れ、新潟大学病院にかかったところ、

頸椎の椎間板が潰れ左腕に行く神経を痛めているのが

原因との事で安静にしている様に言い渡されました。


これが原因で結局7ヶ月間仕事を休む事になり、人身事故で処理して

いなかったためもあり、会社の総務では動いてくれなかったので、

自ら相手先保険会社(N協共済)にその事故による災害で有る事を認めさせるために、

自賠責保険の事務所に一般の損害保険会社だった場合の見解を調べに行ったり

(当時親父が損害保険代理店をやっており、私も上級代理店資格を

取得していた事も有る)相手先保険会社(N協共済)に直接交渉に行き、

やっと認めさせ休業補償を出させたりしまして、非常に苦労をし、

また先行き身体が回復しないのでは無いかと言う不安が有ったりで辛い期間でした。


自宅で療養する様になり1ヶ月ほど経った頃だったと思います。

天気の良い午前中でした。

ベッドで寝ている時に妙な夢を見ていました。

丁度自宅の屋根よりちょっと高いくらいの高さに浮かび、庭を見下ろしているのです。

眩しいくらいの陽光の中で下を見ると空中に浮かんだ自分の足も見えました。

普通の夢と違うのは、異常に現実感が有るのです。

面白いなぁと思っていると、引っ張られる様な感じがし、浮かんでいた位置から

数メーター離れた部屋の中の、自分の身体に頭の方から合体しました。

仰向けのまま頭が肉体の頭と同じ位置に収まり、次に胴体が合わさる感じがしました。

足はしばらく上方に引っ張られた様な状態でしたが、

そのうち「ストッ」と言う感じで落ちました。

その後暫く、身体に感電している様な感じが残りましたが、

それが収まると何事も無かったかの様にベッドにおりました。

夢かとも思いましたが、覚醒するまでのこの一連の状況が、

はっきりとした現実感を伴っているのです。

あまりに不思議な体験に、すぐに両親に告げに行った覚えが有ります。


この経験の後、大学病院へ通院した際に、書店に寄りR・A・モンロー氏の

「体外への旅」を見つけ、購入し身体に感じた振動(感電の様な)などの体験が一致し、

私の体験はやはり幽体離脱だったと言う思いが強くなり、

またこの現象に興味を持つ様になりました。

どうせ自宅療養で時間はたくさん有ります。

眠る時には、常に自分自身を観察する様になり、また、この現象を楽しむ様になりました。

この頃はとにかく頻繁に現象が起こり、多い時には1日に数回体験しました。

少ない時でも週に数回は有りました。


現象としては、うまく体験出来た時には覚醒と就眠の狭間に意識を残していると

全身にゆっくりした痺れの様な振動が頭から足へ、足から頭へと脈動する様に流れました。

そうしているうちに身体が浮かび上がるのです。

ただ、特に修行した訳では有りませんので

抜けてから戻るまで一部始終を記憶している事は有りませんでした。

抜けるところ、戻るところ、それに印象的なところが良く記憶に残っておりました。


回数は序々に減っていきましたが、

7ヶ月が経過し仕事に復帰しても、3、4年は月に2、3回は有りました。


この頃の体験で印象的だった時の事をいくつか記憶しております。


離脱した後、室内を漂う様な事が良く有りましたが、目のすぐ前に天井が見えたり、

室内に飾ってあった物が妙な角度で見える事が良く有りました。

夜中でした。月が明るい晩でしたが、離脱した後、部屋から庭の方向へ斜めに昇って行き、

家の前の道路の辺りを上昇していくと上に電線が迫って来ました。

「ああ、ひっかる」と思いましたが、私の身体(幽体)は電線をすり抜けてしまいました。

そして月明かりに照らされた町内の家々の屋根が見渡せました。

離脱後、どこか好きな所へ行けないかと思っていた頃、

有る晩抜けた後に佐渡へ行ってみようと思いました。

すると身体はものすごい速度で空中を移動し、

顔や身体が風を切って飛んでいるのを感じました。

下には海が見えました。

しかし、佐渡を見る前に何かの力で

肉体に引き戻される感じがし、自分のベッドに戻っておりました。

何回か遠方へ行ってみようとした事が有りましたが、同じ様に有る程度の距離を

肉体から離れると(または時間かも)戻ってしまう様でした。

なかなか自分の思った通りに自由に離脱する事は出来なかったのですが、

抜け際に、手をのばしてみました。

肉体の手では無く幽体の手です。

するとベッド脇の壁に指先が触れる感じがし、

そのまま延ばすと指先は壁を超える感じがしました。

この様な体験は、部屋が変わってから少なくなり、結婚して、ベッドで横に嫁さんが

寝る様になってからは、気が散るためでしょうか、更に無くなりました。


これらの体験は客観的証拠も残っておらず、

他人に話しても「夢だろう」ですまされ、信じてもらえない事も多いかと思います。

しかし自分としては良く見る様な「夢」とは明らかに異質な体験であり、

他人には信じてもらえなくとも自分としては「体験」した事実として記憶に残っております。

現実と感じられるなんらかの脳の活動によって引き起こされたイメージで有ると言う説明が

成り立つとしても、私にとっては実際に体験したとしか思えない不思議な経験でした。

長々と書かせていただきまして、失礼いたしました。







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