あっちの世界ゾ〜ン第二十四夜「九州での一夜」

なむなむさん談


あれは確か僕がまだ高校生の頃、久しぶりに九州の

おばあちゃんの家へ帰省していた時の出来事だったと思います。

僕らが帰省したその日の夜は、

親戚一同がおばあちゃんの家に集まってかなり盛り上がっていました。

みんなかなりのお酒を飲んでいたため、

殆どの人がおばあちゃんの家に泊まる事になって、

仏壇のある大広間(推定30畳)でみんなで寝ることになったのです。

この家は、長い廊下を挟んで左右にかなりの数の部屋がある設計に

なっていたため、僕は部屋の左下のテレビの近くに寝ることになりました。

夜中にふと寝苦しさを感じて目を開けると、

僕の真下にあるテレビが淡い緑色にボォ〜と光っているのが見えました。

誰かが消し忘れたんだ、と思いスイッチを消そうと

身体を動かした瞬間、突然かなしばりになったのです。

初めての体験でしたが、心の中で

「あっ、これがかなしばりなのかっ!?」

と思い、額にじわ〜っと冷や汗がにじんだのを憶えています。

ちくしょう、こんな状態でもし幽霊が出てきたらシャレにならん!と

思い必死に起きあがろうとしていると、

急に上半身だけかなしばりが解け、起きあがれたのです。

そして僕は目の前にあるテレビを凝視しました。

するとテレビの右上に何か白いモノが映っていたので、

さっと右に振り向くと・・・・・

そこには白い衣装を身にまとった女の人が立っていました。

よく見ると顔の左半分が何かにえぐられたようになく、

赤子を抱えていました。

僕は声も出せずに、ずっとその女の目を凝視していました・・・というか

目線をはずせない力が働いているような気がしました。

しばらくその状態が続いていましたが、

急に「ふっ」とかき消すようにいなくなってしまいました。

彼女の目は悲しく、それでいて睨むように僕を見ていました。

一体僕に何が言いたかったのでしょうか?

今でも時々あの「目」を思い出しますが、

多分一生忘れる事はないでしょう。





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