唇あっちの世界ゾ〜ン・第十四夜「抱いて…」
ゆいこさん談
| どうも、ゆいこです。 週末を利用してダイビングに行って来ました〜 この話は,そこのオーナーに聞いた話。 水難事故の時に警察のダイバーが出動しますよね。 ダイビングって基本は二人一組なんですけど、 その時はベテランの方と、実質初めての出動、という若い方。 心中現場に潜って遺体を引き上げることになったそうです。 潜航していくと、車はすぐ見つかりました。 若い方のHさんが近寄ると…まず、女性が見えました。 海の中ではただでさえ赤色系が見えなくなるので、顔色は真っ白。 カッと見開かれた目がHさんを見つめ、長い髪がユラユラ揺れて… 「…やだな〜」 プロでも人間。怖いものは怖いです。しかも新人なんだもん。 でも、プロ。 ベテランダイバーのTさんは、Hさんにドアを開けるように指示して 自分は男性側にまわりこみました。 「…まだ男のほうがいい…」 と、思っても始まらないのでHさん、思いきってドアを開けました。 …瞬間。 ぶわーっと、女の人が、抱きついてきました。 正しくいうと、浮力があるからご遺体は浮いて車外に出て、 Hさんがたまたまそこにいて、 たまたま、女の人の腕が、Hさんに抱きつくような形で前にのばされてて、 たまたま、ホントにたまたま、 女の人の顔が、見開かれた目が、Hさんの目の前に… 「あああああああああああ」 Hさん、たまらずレギュレーター(口に咥えるやつ)をはなして絶叫してしまいました。 そして、たまらず海面めざしてまっしぐら。 上に船が通らなくて良かったです。 そして、絶叫したおかげで、肺の空気が減って水圧が急に変わっても 肺がパンクせずにすんで良かったです… さて、海底に残されたTさん。 ちょっと待て、戻って来いとも言えず、仕方なく漂ってる女の人が流されない ように捕まえて(さすがに一瞬だけはイヤだな、怖いな、と思ったらしい。 一瞬だけね)男の人はシートベルトで固定して動かないようにして 女の人と二人で、浮上したらしい・… 若い男の人が迎えに来てくれて、仏さん嬉しくて抱き着いちゃったんだね、きっと。 …とうちのオーナーは話を締めくくり,そんなのやっぱイヤだな、 と私達はぶるぶるしたのでした… …これはダイバー仲間では結構有名な実話で、緊急浮上するときには 叫びながら、という例に挙げられて事故集の本とかにも載ったらしいです。 |
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