あっちの世界ゾ〜ン第五十壱夜「こんな経験ないですか。」

U.W.O.さん談


こんにちは、初めて

掲示板というものを利用してみるドキドキなインターネット新人です。

実は,私、妖怪なんです。…え、マジですか?! と、いうかた。

まずはこの話を聞いてください。

かつて私が住んでいた町には、

今はただの丘でしかない「城山」というものがありました。

昔あった城がなくなってからは子供の遊び場で、

あんまし城と関係無い慰霊碑なんかもぎょうさん建てられているんです。

勿論、私も子供時代はそこで楽しく遊んでいました。…

しかし、その日はあいにく1人。

退屈だったので、普段はめったに人の来ない慰霊碑のあたりで遊んでいました。

何か面白いものはないかな、と、ふと見ればそこに、

慰霊碑を掃除するためのものらしいホウキが。

こいつは幸い、と、

当時覚えたてだった1日1善というものをやってみようとしたのです。

頃合は晩秋の日暮れ時、紅葉深まる肌寒い風の中。

誰も来ないと思ってお遊びで掃除なんかしていた私は

ふと、人の気配を感じて顔を上げました。…誰か来る?! 

別に悪いことをしていたわけでもないのに、悪ガキでならした私のこと、

「いいこと」なんてしているところは見られたくないと思ったのか、

思わずダッシュで逃げてしまったのです。

野山で遊んで培った運動神経もあってか、

私の逃げ方はかなりのものだったと思います。

かつて城壁だった石垣をなれた身のこなしでスルスルと登り、

そのまま木立の奥へ消えたのでした。

その直後でした…。

城山の慰霊碑のあたりに子供の妖怪が出る、というウワサが流れたのは。

その何年後かに引っ越してしまったため今でもウワサがあるのかは知らないけど、

それは私だあああ〜〜〜!!!! 


引っ越すまで私はずっと、そのウワサがささやかれる影で冷や冷やしていました。


もし、今でもそのウワサがあったとしたら。

…もし、その後の出没談などがあったとしたら。

それは、子供時代を懐かしんで現れる、私の一部なのかもしれない…。





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