あっちの世界ゾ〜ン第五十九夜「胡蝶蘭」

乱数さん談


はじめまして、乱数と言います。

こっちの話もあっちの話も大好きです。

私自身は怖い、とまで言える話は少ないのですが

妹は霊感もあるらしく、ちょくちょく感じています。

いい話があったんですが、別のHPに書いてしまったんで聞いたことある、

とおっしゃる方もおられるでしょうからここでは別の話を。


これは妹が小学校の高学年の頃の話です。

その日、裏に住んでいるおばさんが、

自分で育てていた胡蝶蘭がきれいに咲いたので持って来てくれました。

妹も喜んでいたそうです。

この時、この花に潜んでいる恐怖に気づくものは誰もいず、花は居間に飾られました。

悲劇はその夜おきました。

妹が夜中にトイレに起きた時のことです。

トイレに行くためには居間を通るのですが、妹は家具の位置さえ覚えています。

妹は明かりはつけず、暗闇の中を歩いていました。

するとムニっという感触の後、それが潰れる感じがしたそうです。

そう、ゼリーを踏みつけたような・・・

いやぁな感触だったそうです。

こんなところに何があるんだろう?ゴムのかたまり?

妹は訳のわからない不安を感じながら蛍光灯の紐を引っ張りました。

「!!っ、やだーーーっ!!」

妹は床を見て、自分が何をしたか理解すると大声をあげ、

踏んづけた足を床に付けないようにして母の元に飛び込んだそうです。

ワンワン泣く妹をなだめつけて母は理由を聞きました。

妹は明かりのついた畳の上に何匹ものナメクジを見たそうです。

母は最初妹の言葉を信じなかったのですが、居間に行き幾筋もの

あの銀色のネバつく跡と、その上のナメクジに言葉を失ったそうです。

彼らは胡蝶蘭の埋っていた植木鉢にいたのでしょう。

妹は自分で足をぬぐうことも出来ず母に

何度もぬぐってもらってから風呂で洗ってもらったそうです。

私は大学に行っていて自宅にはいなかったのでその姿は見ていません。

うちはその頃たてつけの悪い家に住んでいたので隙間も多く、虫もいっぱいいました。

妹はゴキブリを追いかけ、急に飛んだゴキブリが

胸に飛び込んだという経験も持っています。

どちらも恐怖の体験だったようです。





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