あっちの世界ゾ〜ン第八十四夜「夜中の不思議」

SARAさん談


怖いような怖くないような話なんですが、書かせて下さい。

実家の前には車1台分の幅の道路があり両脇には民家が建っています。

そして1軒置きぐらいに、犬を飼っています。

ある夜1時ぐらいのこと。

さあ、もう寝ようとベッドに入り、電気を消そうとした時です。

私の部屋から道路に向かって、左の方角から犬の吠える声が聞こえてきました。

夜中で静かな時間なので、良く聞こえます。

ただ、犬の声と重なって別の音がするのです。

すると、最初に吠えた犬の、次の家の犬も吠えるのです。

2匹が続けて吠えるなんて、酔っぱらいでもいて

犬に向かってからかってでもいるのかな、と思いました。

しかし、その「別の音」が何なのか、

だんだん近づいて来るに連れてはっきりしてきました。

「別の音」は「ちり〜ん、ちり〜ん」とゆっくり鳴り響く鐘(?鈴?)の音なのです。

鐘の音が近づくに連れて、近所の犬も順番に吠え始めます。

犬が吠えると同時に飛びつこうとするのか、各家から鎖の音もします。

「ちり〜ん、ちり〜ん」

「わんわんわんわんっ!!!(がしゃがしゃん!!)」

これが数分間、鐘の音が前の通りを行き過ぎるまで続きました。

当然私の家の前も通ったのですが私の部屋は2階にあり、

すぐそこに屋根が見えるだけで道路までは見えませんでした。

その内鐘の音も聞こえなくなり、犬も吠えるのをやめ後は夜の静寂だけ。

これって、なんだったんでしょう?

当時もあんまり怖くはなかったのですがいろいろ想像をめぐらせてしまいました。

ゆっくりゆっくり歩く酔っぱらい?

深夜の托鉢僧?

道を間違えたお遍路さん?

とかならまだいいのですが、何故か私の頭に浮かんだのは

手に鐘を持った、妖怪油すまし。

犬に吠えられてちょっとかわいそうかも・・・





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