あっちの世界ゾ〜ン第弐夜「我が家のイーストウッド君」

ねこまたさん談


はじめて投稿させていただきます、「ねこまた」と申します。

実は結構あっちなものを見てしまうのですが、

今回はそのことを意識しだしたころのお話をひとつ…。もちろん「実話」です…。

あれは僕がまだ高校1年のころ…。季節は冬でした。

それまでも金縛りにはよくかかるというようなことはありましたが、

あきらかに「あっちの世界」なものを見るという経験はなく

(これは本人が意識してなかっただけなのですが)、あまり気にしてはいませんでした。

で、ある日の深夜。

1時半ぐらいにベッドに入ったのですが、どうも寝つけません。

もぞもぞとベッドの中で動き回っていると「ジーッ」という音が。

僕にはビデオの予約録画の音に聞こえ、

「おかしいな。何か予約入れたっけかな」と思いそちらの方向を見ると突然男の顔が!

「おおおなんじゃこりゃあー?」

その叫びは声になりませんでした。

何故なら僕の身体は急速に金縛りにかかりつつあったのです。

大胆にもその男の顔をにらみつける僕。

その顔は渋く、若かりし日の「クリント・イーストウッド」そっくりでした。


な、何でイーストウッド?


パニックになりながら僕はひとつのことに気づきました。

「 左 手 が に ぎ ら れ て い る 」

しかも猛烈な力で引っ張られている!

にぶい僕はここではじめて恐怖にとりつかれました。

ヤバイ!こりゃ何とかしないと…。

幸いというか何というか、ほぼ金縛りは解けていました。

とりあえず右手を左手に添え、その手の引っ張る力に対抗しようとしました。

…ダメでした。

それどころかぐいぐい引っ張られていきます。

「ひょっとして肉体から引き剥がされているのか!?」

という考えが浮かび、恐怖はピークに達しました。

僕は最後の手段、「蹴り」に出ました。

「うおりゃあー!」(心の叫び)

しかし布団の感触しかなく、むなしく布団が吹っ飛ぶばかり。

仏教系の学校に通っているにも関わらず、

念仏を唱えようなどという考えはまったく出てきませんでした。このバチ当たりが。

「万策尽きた(そこまで努力してねえだろ)…こんなところで人生の終焉を迎えようとは…」

たぶんそこまで冷静ではなかったとは思いますが完全に「あきらめ」ていました。

「イーストウッドよ、やるならやれ」

僕は力を抜き、身をまかせました。

…不思議なことにその瞬間左手を引いていた手の感触が消えたのです。

イーストウッドも消えていました。
 

その日はもう眠る気にはならず、電気をつけ、音楽をかけ、そのまま朝まで起きていました。

以上が僕のあきらかに「あっちのもの」初体験談です。


この他この後日談やら何やら、腐るほど話はあるのですが、今回はこのへんで…。





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