こっちの世界ゾ〜ン第二十夜「天使と悪魔の戦い(笑)」

三堂りある(9番)さん談


コンビニの夜勤は朝の6時に終わる。

フラフラになりながらも、家路に急ぐ俺は、道ばたであるモノを発見する。


「サイフだ!」

よく見れば、グッチのサイフ。

とっても高そうなサイフだった。


「落とし物か・・・」

つい中身を確認する俺。


!?

なんと、中には7万2千円がっ!


思わず往来を見渡す俺。

誰もいない。

「どっきり」でもなさそうだ。

頭の中を現在の厳しい経済状況が走馬燈のように駆けめぐる。

俺の心の悪魔と天使が言い争う。


悪魔「盗っちまえよ。これは神様のプレゼントだ」

天使「だめだ。持ち主がきっと困るよ」

悪魔「グッチのサイフを買うようなヤツは金持ちだ。かまわないさ」

天使「お金は自分で稼ぐものだよ」

悪魔「サイフを落としたヤツが間抜けなのだ」

天使「エゴだよ、それは」

悪魔「これがあれば、借金が返せるゼ!」


失禁!?

じゃなくて借金!?


そう、俺には先輩と友人から借金があった。

vc−netへのお金も今月は払っていない・・・。

俺はサイフからお金を抜いた。


そこで!

死んだ婆ちゃんの言葉が頭に浮かんだ!

「一度失った誇りは二度と取り戻せないよ」


・・・・・・っっ

俺は・・・

俺は貴族の精神を持つ男(笑)

自分の欲望などに屈するわけにはいかんのだ!


かくして俺はそのサイフをちゃんと交番に届けたのでした。

これでいい。

これでいいんだ。


でも、やっぱり悔しかったのか、夢まで見た(笑)





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