こっちの世界ゾ〜ン第二十五夜「コンビニの珍客(王子襲来編)」

三堂りある(9番)さん談


あれは僕がミニストップでアルバイトしていた頃の話です。


時計も3時を回っていたと思います。

僕は相棒の島崎さん(仮名)と「ダイハード3」の酷評をしていました。

するとかなり大きな声でしゃべりながら二人組(男)のお客様がいらっしゃいました。


「たりーなぁ。今何時だと思ってんだよ。寝てろよ、バカっ」

と思いながらも、事務所から出てきて応対する僕と島崎さん。


お客様の一人がレジにカゴを置いて待っていらっしゃいました。

もう一人はまだ品物を選んでいらっしゃるようです。

店員に気をつかったのか、レジ前にいるお客様がもう一人に話しかけました。

「王子ーっ、はやくしてくださいよォ」


王子!?

今、そう言ったよな、このお客様は!?


思わずそのお客様の顔を見る僕。

そのお客さんは22、3歳で眼鏡をおかけになっており、額にはマジックで「にく」と・・・


まさかっ!?

稲妻のようにひらめく、芸術のような論理的思考!(byしつちょー様)

僕の推理が間違っていなければもう一人は・・・


もう一人のお客さんが「悪い悪い」とばかりレジ前にいらっしゃった時、推理は確信になりました。

そう、賢明な読者の方にはもうおわかりでしょう。

そのお客様はマジックで額に「肉」と書き、口の周りは赤いマジックでたらこ唇のように塗装し、

髪型のモヒカンのように真ん中で立てていたのです。


キン肉スグル!?

そして、もう一人はミート!?

だから「王子」だったのか!


コスプレにしては、服装はまともで、おかしいのは顔のペインティングだけ。

そのアンバランスさが僕の笑いの壺を刺激します。ぷぷぷ・・・っ


なるべく顔を見ないようにして、会計処理をしました。

その甲斐あってか、

品物をすべてスキャンしてお金を受け取る時には、笑いの発作もずいぶん収まってきました。

それでお釣りの2円(ぐらい)をお返ししようとすると・・・


「屁のツッパリはいらんですよ。募金しといて下さい☆」


お客様がお帰りになってから、僕は相棒の島崎さんが呆れるぐらい大笑いしてました。


なんとも、応対に困った素敵なお客様でした。

実話です。





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