こっちの世界ゾ〜ン第三十六夜「悪夢のドライブ」

ぱわっち(ぼうちょー)さん談


これは、3年程前に私が経験した話です。

当時、私は県内のとある製薬工場の仕事を、

先輩のIさん(♂)とMさん(♀)の3名でしておりました。

ある日、客先で打ち合わせをする為に私達は午後イチに会社を出て

東名高速道路経由で客先に向かう事になりました。

ところが出発間際になってIさんに別の客先から電話が入りました。

長引きそうな気配を感じたIさんは、私とMさんに

「先に行ってて、後で追いつくから」と言い、

私達も全員が時間に遅れてしまったら客の機嫌を損ねると思って2人で先発しました。


車の運転は私が担当し、行きの車中で私はMさんと、

お互いに好きなサッカーの話で盛り上がって「結構いい雰囲気」になっていました。

(O型同士で友人としては最高の相性、恋人としても悪くない相性です)

そうこうしている内に目的地付近のインターに到着し

私達は料金所を抜けて目的地に向かいました。


ここだけの話なんですけど...

実は私もMさんも客先には2、3度行った事がありますが、

お互いに「方向オンチ」の為、常に決まったルートを通らないと到着出来ないんです。

その為、その日も同じルートを行こうと、私はいつもの道筋に沿って車を走らせました。

ところが私は途中で、どこの交差点を曲がるか度忘れしてしまい、

非常に困惑してしまいました。


私「確か、あそこの交差点を右折すればいいんですよね?」

自身なさげに私がMさんに確認すると、

Mさんは「うん♪、確かそうだよ(^^)」と返事してきました。

「よし、あってるんだな」と言う事で私は交差点を右に曲がり車を走らせました。

右折して2、3分程経った頃でしょうか、

私は「こんな景色見た事ねぇぞ(汗)」と、とてつもない不安に駆られました。

私「この道、以前通った事ありましたっけ?(汗)」

Mさん「ううん、私も覚えが無いよ(汗)」

どうやら私達は見事に「方向オンチぶり」を発揮して、道を間違えてしまった様でした。

通りは一方通行で今来た道を戻る事は出来ません。


その為、私は適当な所で道を外れて元の道に合流しようとしました。

ところが目的地付近は道路が曲がりくねっていたり、

起伏にとんでたりで一方通行の場所も多く、

元の道に合流するどころか余計に変な所に出てしまったんです。

私「やべぇ(汗)もう、わけわからん(T_T)」

焦りまくる私の気持ちを感じ取ったのかMさんも

不安そうな表情になり、車中は重い雰囲気に包まれました。

Mさん「だいじょうぶ、とりあえず広い通りを捜そうよ、

県道か国道に出れれば標識で大体分かると思うから...」

私は「ううっ、なんて優しい人なんだ(T_T)」と感動し、

彼女の言葉に励まされながら広い道を求めて車を走らせました。


私達が道に迷いはじめて15分程が経過した頃でしょうか、Mさんが口を開きました。

Mさん「打ち合わせの約束時間過ぎちゃったね...」

私「ええ、でももしかしたらIさんがギリギリ間に合ってるかも...」

Mさん「そうだね、Iさん時間に厳しい人だから...ところで、ぱわっち君」

私「はい?」

Mさん「今あった看板、さっきも見なかった?(汗)」

私「...そういえば見ましたね、5分程前に...(汗)」

どういう訳か私達は同じ所をぐるぐる廻っているようでした。さすがは「方向オンチ」(^^;


それから私達は再び迷走を続け、更に15分が経過しました。

私「おかしいな、どうなっちゃんだろう...(汗)もしかして"霊"の仕業か!?」

Mさん「ぱわっち君、考え過ぎ...」

Mさんが私をたしなめると、突然私達は異様な雰囲気に包まれた場所に着きました。

そしてこの後、私達にとって物凄い恐怖の出来事が起こったのです.....


私達が着いた所は、一種独特の雰囲気を醸し出す空間でした。

「御休憩 ¥4,000、宿泊 ¥7,000」

その様な看板があちらこちらに燐立する恐怖の場所...


「...ってラブホテルの密集地やんかぁ〜!! <(T◇T)>」


...私は非常に焦りました。「よりにもよってこんな所に着くか!? オイ!!」と...

助手席をチラと横目で見ると、うつむき加減のMさんの顔が心なしか赤くなっています。

「気まずい、場を明るくしなければ!!」

使命感にも似た感情が私の脳裏をよぎり、私は場を和ませるべく口を開きました。

私「なんか変な所に出ちゃいましたね(赤面)」

Mさん「う、うん(赤面)」

私「打ち合わせの時間にも間に合わなかったし、なんか散々ですね...はは(^^;」

Mさん「そ..だね...(^^;」

私は「よし、少し表情が和らいできた、もう一押し!!(^▽^)」と思い、言葉を続けました。

私「...何だったら、いっそのこと休んできます?(^▽^)」

Mさん「え?(ーー;」


一瞬にして暗転、そして急降下...

「し、しまったぁぁ!!

これじゃまるでセクハラおやじぢゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!<(T◇T)>」

ジョークにしてもこんな時に切り出す言葉ぢゃないだろうが!!(T_T)

私は今でもこの時、何故こんな事を口走ったのか全く見当がつきません。

(下心故のものか...)

しかし「言ってしまった事実」は変えられません。

私もMさんも顔がものすごく赤くなっています。


私「じ、じょーくですから、気にしないでください(超赤面)」

Mさん「う、うん、わかってる...(超赤面)」


その後私達はお互いに目を合わせないまま車を走らせました。

その内に、どうにかこうにか知っている道に出る事ができた為、客先に向かいました。

客先に着いた私達を、Iさんと客先担当者のYさんが待っていました。

私達は実に40分もの大遅刻をやらかしてしまったんです。


Iさん「何やってたんだ?どうして後から出た俺の方が先に着いてるんだよ!?」

私「スイマセンでした。道を間違って今までずっと迷っていたんです。(/_\)」

Iさん「それなら、電話の一本でも入れればいいじゃないか!?」

私「途中、電話BOXを捜したんですけど見つからなかったんです...」


私達3人はYさんに丁寧にお詫びしました。

Yさんは、この辺の地理が複雑な事を知ってるせいか笑って許してくださいました。


Iさん「ほんとにボケボケしてるんだから、オマエ達は...(呆)」

私「スイマセンでした。m(_ _)m」

Iさん「心配したぞ、事故に遭ってるんじゃないかって...」

Mさん「スイマセンでした。m(_ _)m」

すると、平謝りに謝る私達の姿を見かねたYさんが笑いながらいいました。


Yさん「本当に事故じゃなくてよかったですよ。無事で何よりでした。」

私が「うう、ええ人やなぁ(T_T)」と感動しているとYさんは続けてこう言いました。

Yさん「...もしかして、どっかで"休憩"してたりしてね(ニヤリ)」

私達二人の顔が一瞬にして真っ赤になったのはいうまでもありません。

(終劇)


...ほんとにあっちゃった「怖い話」でした。





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