こっちの世界ゾ〜ン第四夜「隣人、私の場合・・・その1(サザエさん編)」

固持虎児さん談


あれは、昨年の秋のことです。

とある真夜中。主人は一人、布団の中で身構えていました。

手には主人の昔からのお気に入り「ロボピッチャ」の専用バット

(セルロイドで柔らかい物です)を、持って(全然役に立たないこと請け合いですね)。

彼が異変に気付いたのは、寝入りばなのこと。

どうも玄関のドアノブが、何者かにいじられているような音が。

そして、しばらくすると、足音が茶の間を横切り、奥の和室の戸を開ける音まで。

「まさか泥棒なんて、と思った」(主人談)。

更に追い打ちをかけるように押入を開ける音。

「完璧、泥棒やと思った」彼は、暗がりの中を手探りして、

手に当たった物=偽バットをつかみました。

「力入りすぎてな、バットの握り、つぶしてもうてん」(主人談)。

彼は寝室のドアを思いっきり蹴倒し(ドアが壊れました)、

「おらぁっっ!!」と、意味不明の叫び声を上げ、奥の和室へとなだれ込みました。

すると、そこにはお客様用の布団と格闘している人が。

「なに人ン家で、やらかしてんねん!!!!」

凄む声が裏返り、ヨーデルさながらです。

すると泥棒は開き直り(今風で言うなら逆ギレですね)

「あんたこそ人の家で何言ってんだ」。

「!!??!!??」

電気をつけ、お互い顔を見て大爆笑、それはお隣の旦那さんだったのです。

しかも彼は、頭にネクタイをバンダナの様につけ、

典型的な酔っぱらいのお土産まで持っていたそうです。

お隣まで見送ってあげた主人の背後からは

隣の奥さんの絶叫と皿の割れる音が聞こえたそうです。


次の朝、隣の奥さんが「実家から送って来た」という

「千秋庵の山親父」(札幌ならどこでも手に入る代物です)を持って謝りに来ました。

主人が蹴飛ばして破壊した、ドアの修理代も置いてゆきました。


さて、そんな事があった間、当の固持虎児は何をしていたのかというと・・・、

全く気付かず爆睡していたのでした

(もちろん、隣の奥さんが来たのも知りませんでしたとさ)。


ちなみにこの話は、

以前に某札幌女性せいかつ情報誌に実名で載せた事がある話です。

でも、あの雑誌を読んでる人なんてほとんどいないでしょう。





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