こっちの世界ゾ〜ン第五十参夜「そして伝説は甦る」

ぱわっち(ぼうちょー犬)さん談


今回は怖くない(いつもか...)んでここに書くべきネタかどうか迷ったけど、

とりあえず召し上がってみて下さい。


タイトル:「そして伝説は甦る」


これは私が中学1年の時の話です。

時期的には今ごろになるでしょうか、私達は富士山周辺のとある高原で

「学年研修(いわゆる林間学校)」を2泊3日の日程で取り行う事になりました。

研修の内容は朝のラジオ体操から始まり、

普段学校ではやらないような授業(竹とんぼの工作とかetc.)が中心になってました。

皆さんも経験があると思いますが、こういった行事は昼間よりも夜の方が本番になってまして

夜になりますと各部屋で「枕投げ」、「プロレスごっこ」、「怪談話」、「好きな異性の話」等で盛り上がります。

当然ながら私達も例外ではなく消灯時間が過ぎた後、私と友人数人で「好きな異性の話」を始めたんです。


Y「なぁ、Nの好きな奴って誰なんだよ?」

N「えっ、言えないよ(赤面)」

私「俺達さぁ〜、『トモダチ』だろ?なぁSよぉ」

S「そうそう(ニヤリ)」

N「うっ.......」


私達はいつも、物静かなN君をターゲットにして彼の意中の人を探りはじめました。

しかし、恥ずかしがって彼は心を開いてくれません。


私「じゃあさ、俺達も好きな女の名前言うからNも言えよ」

Y、S[そうだな、そうしよう」

N「わ、わかったよ...」

Nが渋々承諾したので私、Y、Sの3人は同じクラスの女子の名前を挙げました。

Nも私達の告白にすっかり安心したらしく「僕、H野の事が好きなんだ」と、ついに白状したんです。


私「やっぱり、H野の事が好きだったんだぁ(ニヤリ)」

Y「な、オレの言った通りだろ(ニヤリ)」

S「おぉ、ホントだぁ(ニヤリ)」

私達の「バカ、俺達が言った好きな女は嘘に決まってるだろーが作戦」に

引っかかった事に気が付いたNは

「ず、ずるいぞぉ〜(T◇T)」と泣きそうな顔になりながら悔しがりました。

最初はニヤニヤしていた私達もNのあまりにも悔しそうな様子を見かねた為、彼に謝りました。


私「N、ゴメンなぁ...ところでさぁ」

N「えっ?」

私「おまえさぁ「H野のハダカ」見たくない?」

N「えぇっ!?」

実は私達は研修に来る前に、ある情報を仕入れていた為

「ある作戦」を実行に移すべく計画を練っていたんです。


その作戦とは...


「湯煙に紛れて接近、のぞきでウハウハ大作戦!!(笑)」というものでした。


尚、詳細はこうです。


1.宿舎のオフロは大浴場が1つしか無い為、各クラスの男女が20分交代で入る事になっている。

2.自分達の入浴時に湯気で窓ガラスを曇らせておき、中から外の様子を見えなくする。

3.フロから出る前に窓の鍵を開けておく。

4.自室に戻った後、裏口の非常階段を使って「のぞきポイント」に移動する。

(尚、裏口は万一見つかった時の逃走ルートとする。)

5.正面玄関側に見張りを1人つけて教師がこないか監視する。

6.鍵の開いた窓を開けて中をのぞく。


これは私達の作戦参謀である「むっつりスケベのS」が考えた案で逃走ルートまで考慮しているあたり

「恐るべしS」といった感じでした。(S曰く「物事は引く時が一番重要なんだヨ」)

しかし「のぞき」と聞いてNが尻込みをした為

私達は再び「俺達『トモダチ』だよな!?」の一言で屈服させ、

2日目の夜に作戦を決行する事になりました。


そして作戦決行日...


私達は当初の作戦どおり、風呂から上がる前に洗い場のお湯を目一杯出して窓ガラスを曇らせました。

その後、自室に戻って上履きを履き非常口の鍵を開けて建物の外へ脱出し、ポイントへ移動。

この時、私は見張りを決めるジャンケンに

運悪く負けてしまった為、正面玄関側へ1人移動して監視を始めました。


私「チクショー、あの時グーを出してれば...(ーーメ」

一人寂しくボヤいていた私は「先公が来たら合図を出さずに

一人で逃げちゃろか(ーーメ」という危険な考えを持ちはじめました。

それでも「やっぱマズイか...」と気を取り直し邪念を振り払おうとした、その時!!


女子「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」


風呂場の方から女子の悲鳴が聞こえてきたんです。


私「あんのバカ共、見つかりやがった!!」

慌てた私は「まとまって動くと目立つから散開して逃げろ!!」と怒鳴り、

私自身も建物から一時遠ざかりました。

...10分ぐらい間を置いて裏口から入ろうとすると裏口前にみんなが突っ立っていました。


私「なにやってんだよ、入らないのか?」

S「ドアの鍵、閉められた...(T_T)」

この時、どういうわけか裏口の鍵が閉められていたんです。(犯人は未だ不明)


Y「もうダメだ、玄関から入るしかないよ...(T_T)」

S「玄関から行けば捕まるだろうな、確実に...(T_T)」

私は「しかたないか...ここにいつまでいたってしょうがない」と肩をすくめて、

皆を玄関に行く様に促そうとすると、Nが小刻みに震えながら泣いているのが見えました。


私「N、どうした?」

N「ううっ、うっ(T_T)」

私「泣いてちゃ分からんだろ? ん?(^^)」


私がNの泣いている理由を確かめようと優しく言葉を掛けてやると横からYが口を出してきました。


Y「さっきさぁ、女子に見つかって慌てて逃げたろ?」

私「あぁ、それが何か?」

Y「実は俺達、Nに最初に覗かせてやろうとしたんだけどさぁ、

Nが窓に近づいた時に急に窓が開いたんだよ」

私「えぇっ、それで?」

Y「そしたらさぁ、窓を開けたのが『H野』でさ、Nと思いっきり目線が合っちゃって...(ーー;」

私「..............そうか..(ーー;」


私達は「あまりの偶然(滅)」に声が出ませんでした。

...その後、私達は正面玄関から建物に入ろうとして教師に捕まり、

一晩中の正座を申し渡されたのでした。


廊下に正座をして1時間程が経った頃でしょうか、Sが口を開きました。


S「なぁ『あの伝説』って、やっぱり本当だったんだな...」

Y「伝説?」

S「あぁ...」

Sの一言で何を言いたいのか悟った私も話に加わりました。


私「なるほどね、確かにそうだな『初恋は実らない』って(ーー;」


...私達の無責任な会話にNがキレたのは言うまでもありません。


(終劇)





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