こっちの世界ゾ〜ン4週目・第十六夜「国道20号の少女」

鳳雛さん

投稿日 :98年11月6日<金>


こんばんわ

さて、私は子供の時から心霊現象に出くわしやすい体質で

ネタも色々あるのですが.....今夜はそれとはまったく関係ないお話です。


東京の国道20号は皇居から山梨に向かう道で、別名甲州街道です。

これは先日僕が20号を走っていた時のお話し......実話です。

八王子に住む友達の家に遊びにいき、

楽しい一時を過ごし帰路についたのは午後111時を回っていました。

小雨も降出し、少し肌寒い陽気でした。

僕は16号から20号に入り、都心に向かって車を走らせていました。

窓を少し開けて雨水が入らないようにタバコを吸っていた僕は、

灰皿がイッパイになっていることに気付きました。

丁度赤信号で車が停止したとき僕は煙草を窓から捨てました。

......その時コンコン!

一瞬、警察官に煙草を捨てたことを注意されるのかと思い緊張しました。

恐る恐る窓の方を見ると、小学生くらいの女の子が立っていました。

???こんな時間に.....どうした?

僕『どうかしたの?』

子供『あの〜山に行ってて、駅の改札で転んで足挫いて、お金ないから帰れなくて

家に親いないからタクシーで帰れないし〜』

僕『え?なんか意味がよくわからないんだけど....』

子供『家に帰れないんです』

こまったな〜こんな時間に車に子供乗せるってマズイんじゃないかな〜

僕『じゃあお巡りさん呼ぶから....』

子供『お巡りさんはイヤ』

ブッブーーーーーーーー!

気が付くと青信号、後ろの車は痺れをきらせてる。

僕『とりあえず車を脇にとめるから待ってて』

子供『大丈夫です!』

子供は勝手に助手席に乗ってきました。

その後警察を呼ぼうと何度も提案したのですが.....

彼女が懇願するので仕方なく家まで送ることになりました。

それが恐怖へのドライブとも知らずに.....

彼女を乗せてすぐに話しの不自然さに気付きました。

っていうか直ぐに気付くべきなんでしょうけど.....ちょっと焦ってて

1.その子供を乗せた場所から一番近くの駅は八王子駅....

とても子供が足を挫いた状態で歩ける距離じゃない....

2.その日は台風上陸の日で朝から雨が降っていた。山には登らないでしょう普通

しかし不自然さはそれだけじゃなかった。

『家どこ?』

『すぐ近くです.....言う通りに進んで下さい』

駅から子供がいた地点とまったく逆方向でした。

初めは道に迷ったのかなと思ったらとんでもない......

僕より詳しい!

抜け道、近道、斜線変更、全部的確に指示してくる....

なんだこの子は?と思いながらも指示にしたがってした。

八王子バイパスを抜けて、さらに山道を突き進む。

明かりもまばらになり、道も細くなって来た........風も次第に強くなり

ワイパーはMAXだった。


だんだん自分がおかれている状態の異常さを認識しはじめ、恐怖を憶えました。

この子は本当に家に向かっているのか?そんな疑問が脳裏をかすめました。

その子は、赤いチェックのズボンに白のT-シャツ....荷物はない

肥満体型を完璧に超えたビアダル体型....転がして逃げたいという欲求にかられながらも

無言の空間に絶えられず疑問を投げ掛けた

『ねえ....君何歳?』

『何歳に見えますか?』

『小学生くらいかな?』

『そうですか......』

なんだかそれ以上つっこんではいけない雰囲気だった。

『なんで山なんか登ったの.....?なんで夜中の11時まであんな....』

『私の言うこと信じられないんですか!!?』

『いや......ただ気になっただけだから......』

『私のこと変な子だとおもってるでしょ!!?』

『思ってないよ.......だから怒鳴るなよ』

その時友達から電話があった.....『あっ...ごめん、今トラブッててさー

後で書け直すよ.....うん...じゃあね』

すると少女は眼球の見えない程細い目でこちらを見ている。

『......何??』

『私が謝れば許してくれるんですか!!?』

脂肪と浮腫みでパンパンに腫れた顔からは、感情を読み取ることができなかった。

『何の話し??』

『今....トラブッテルって言ってたでしょ!!!!!!?』

また怒鳴る......

『いや....あれはただ今忙しいって意味で........』

『あ.....そこ右』

なんなんだ.....この子は....

車を右折させようとすると、そこは都営住宅の隣接地帯のような所だった。

........こんな山の上に.......

みすぼらしい木造平家で、星ヒューマでも住んでしょうな.....凄い所でした。

『ゴメン!ちょっと狭くてこれ以上入れないよ....』

『え〜大丈夫ですよ〜』

『でも家ここでしょ??』

『はい』

『だったらここで勘弁してよ......入ってもこれじゃー出られないよ』

『お茶でも飲んでいって下さいよ......』

冗談じゃない!!

『いや!いい!本当は凄く忙しいんだ』

『じゃあお母さん呼んでくるから待ってて下さい!』

『逃げたりしないで下さいね......みんな喜ぶと思うし』

そういうと彼女は車を降りて走り出した。

僕は即座に車を反転させるとライトを付けた......すると

ゲーーーーーーーーッ!!!!!!

目の前に10人くらい人の陰が.....そしてさっきの子供はもう戻ってきてる。

なんだ???こいつらーーーー

僕はとっさにドアをロックすると.....『開けて開けて!....ちょっと待って!』

ライトをハイビームにしてクラクションをならしながらユックリと発信させた。

その人達は無表情でこっちをみながら....避けました。

子供は最後まで車を追い掛けていたとおもいます。

なんなんだ......あの人達.....??

なんだか気分が悪くなり......『う〜んホラー映画だと後部座席からあの子供が現れるな』

とか思いながら車を走らせました。

ちょっと続く......

山をおりきって.....もう大丈夫という場所までくるとドッと疲れを感じた。

僕は煙草を取り出すと......火をつけようやく落ち着きをとりもどした。

ふと助手席に目をやると.......

ゲエエエエエーーーーーーーー!

毛じゃああああああああああ!

助手席には無数の長い髪の毛が散乱してました。

うそー頼むよーーーーー、どういう新陳代謝のスピードよ?

前を見るとガソリンスタンドが見えました。

とりあえずマトモな人間と話しがしたかったし....車も掃除したかったので給油しに入った。


 『イラッシャイマセーーーー!給油ですか?』

うおーーーやっぱマトモな人間はいいなーー

『すいません.......車内の清掃もお願いしたいんですが.....』

『あーー車内の清掃は8時までなんですよ』

『そうかーじゃあゴミ箱借りれます??』

『どうしたんですか?』

『いやーカクカクシカジカ』

『えーーーマジっすか??....恐いっすよーーー』

『おい!掃除してやれよ.....可哀相だよ』

少し年上の店員がそう言ってくれたことで、私の車の掃除が始まった。

『本当にありがとうございます......』

ほとんど涙め状態でした......

きっとあの時年上の店員さんに交際申し込まれたらOKしてたこもしれない....

『いやー大変だったねーでも危ないからこれからは注意しなよ!』

『ええ本当ですね......』

『でさあ.......山の上の都営住宅って言ったっけ??........あそこやばいよ』

『え??』

『いやー詳しくは分らんけど......地元の住民も気味が悪いって言って近寄らないんだよ』

『...........どういう人なんですか??』

『いやー噂だけどね......一世帯全部親戚なんだってさー.....』

若い店員『俺はどっかの宗教信者だって聞きましたよ!』

『まーどっちにしても、怪し気なのは確かだから関わらん方がいいな.....

外出してるの見たことないし.....』

ヤンキーっぽい店員『でも俺の先輩から似たような話し聞いたことがありますよ

国道20号で女の子のヒッチハイカーに会って.....小学生くらいだったとか』

僕『やっぱり常習犯なんですかねー』

あーでもない、こーでもないと1時間ほど盛り上がり帰宅しました。

結局なんだったんんだろう......全ては幻のような気がします。


最後に一言

八王子のガソリンスタンドのお兄さん達ありがとう!





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