こっちの世界ゾーン第参夜「ついこの間あった。恐かった体験」

螺旋さん談



ついこの間あった。恐かった体験です。

最近、この手の恐い体験が無かったんで、何か新鮮でした。

それはこの間の12時過ぎくらい、ゲームをやってたころでした。

そろそろ寝なきゃと思っていたが、ちょっと興が乗ってしまっていました。

どこかで、何か不思議な気配を感じました。

コンコン…コン…コンコン… ノックの音…?

こんな遅くに誰が…?

いや、それ以前に普通はインタフォンを押すではないか!?

コンコン…ばたん!ダンダン… そんなような音がしてきました。

私は自分の心臓が早くなるのを感じました。

血流の音が轟々と響いてきます。

そっと…私は入り口の扉に向かうブラインドを開けて…みました。

そこにあったのはいつもの光景です。

音も聞こえません。

怪訝に思いながらも、部屋に戻り、

気を紛らわすかのようにゲームを再開しました。

しかし…

コン…コン…コンコン…コンコン…

音が!再び!聞こえてきたのですっ!?

私は顔から血の気が引くのを感じました。

しかし、私にできる事は無視する事だけ。

出なきゃいけない筋合いなんぞまったくもってない。

私は気を紛らわすかのようにゲームに集中しようとした。

しかし意識は背後の扉から離れなかった。

窓から誰かが覗いているような気がした。

もちろん誰がいるわけでもない。

恐い。

恐い!恐い!!

その言葉を出せば負けるような気がした。

理由など無い。

奇妙な高揚とともに憤慨が現れる。

いったい誰なんだ!

何か用なのか!

用があったらインタフォン押せばいいのにっ!

−その瞬間だった

ピンポンッ!

なったのだ。

インタフォンが…私は覚悟を決め、そのインタフォンに向かった。

直接出るよりは、よっぽどマシだと思ったのだ。

脈拍はすでに経験した事無いくらいの速さで蠢いている。

インタフォンの受話器をとる…

無限ともおもえる時間の後、「はい…」と言ってみる…

−そしてその向こうから!?

「大家ですけど。どなたかお友達が来てませんか?

………………………………………………???

「はぁ?」

「いやね、アパートの入り口に変な止め方した車がいまして…」

つまりはそんなわけだ。

その車をどかしたいがために、この夜中に一件一件まわっていたようだ。

ノック音はとなりのもので、インタフォン押しても誰も出てこなかったから、

ノックしたんだろうな。

はぁ…

「何時だと思ってるっ!高い家賃とっておいて、こんな時ばっか動くなぁ!」

などと叫ぶ事なぞできないまま、安心して眠りに就くのでした。

ちゃんちゃん すんません。

自分でも予想外のオチだったんで。。。こっちの世界で良かったぁ。





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