こっちの世界ゾ〜ン第四十壱夜「受験時の失敗談 その一」

奥村紀子(真名)さん


ちょっと、古い話を一つします。

実をいうと、「受験体験談」みたいな本に載った話です。

親には泣かれるは、学校ではいい笑い物になるは、とても恥ずかしい話です。

でも、今は大人なので、これくらいのこと、名誉の勲章さ。


S女子大学を受けることになった私は、締め切りも二日後、ということで、早く追いつめられていました。

ともかく、私立でもいいから、どこか受かるように、ということで、私はセンターだけで受けました。

最近では、センターの成績だけで受かる国立もあっていいですね。

ともかく、急いでいました。

用紙は一つしかなくて、もう慌てていました。

そして、全てを揃え、速達で送りました。

それはよかったのです。

しかし、三日たって、S女子大学から電話がかかってきました。

補習が終わって、これから勉強、という時のことで、わたしはびびりました。

なにせ、まともに資料が届いた試しがないのです。

電話はこうでした。

S女子「お忙しいところすいません、奥村紀子さんですか?」

奥村「はい、そうですが、なにかありましたか?」

(この頃、かなり怖い目にあっていて、電話をとるのが怖かった。)

S女子「実を申しますと、あなたが振り込んだ受験料なんですが、

違う学科の口座に振り込まれているんですよ」

なにー!

またやると思っていたよ奥村。

汗だらだら流して、さっきまで勉強していた内容なんて真っ白。

奥村「ということは、受験はなしですか?」

S女子「明日の午前中に来ていただければ、受験できることに会議で決まりました」

もう、S女子ばんざーいー。

担任に理由を話して、私は資料を全て持っていきました。

両親にも、担任にも、

「お前は注意が足りない」

と叱られ、私は笑ってごまかしました。


結局、その大学には行きませんでしたが、今でも感謝しています。

理事長が汚職で捕まっていようが、S女子大学は素晴らしい学校です。

S女子大学ばんざーい。


おしまい



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