こっちの世界ゾ〜ン第四十弐夜「コウモリの恐怖」

奥村紀子(真名)さん


友達から聞いたおもしろい話を思い出したので、忘れないうちに投稿します。


友達長船(仮名)さんのお姉さんは旅行関係の仕事をしているため、家には滅多にいないそうです。

そのため、部屋は一応掃除はしてあるものも、結構いいがげんにしているとか。

一週間ぶりに帰ってきたお姉さんは、連日連夜の疲れもたまり、

家に帰るなり自分の部屋に行ってしまいました。

長船さんは、「大丈夫?」と声をかけたのですが、返事は返ってきません。

それが、一分もたたないうちに、お姉さんは部屋から飛び出てきました。

「べ、べ、べ、ベットの中になにかいる!」

よほど気持ち悪かったのか、もう部屋に戻りたくないと泣き出してしまいました。

そこで、長船さんとお母さんがお姉さんの部屋に出陣。

長船さんは手ぶらで、お母さんはほうきを持って行きました。

部屋は真っ暗で、誰もいないように見えました。

お母さんが電気をつけるのですが、やはり、なにもいません。

長船さんにしがみついているお姉さんは、

「布団の中にいたのー!」

泣きながらいいます。

ここはお父さんを呼んだほうがいいのでは、と長船さんが提案する前に、

勇気あるお母さんは布団をひっぺがえしました。

しかも、ぶんぶんと振り回すのです。

すると、黒い物体が布団から飛び出しました。

「きゃー!」

お姉さんは真っ先に逃げました。

長船さんはその物体がなんなのか見極めました。

コウモリでした。

お母さんは子供たちに危険がふりかからないように、

「暗い所に行きなさい!

動物は、光に集まってくるから」

とほうきを振り回しながらいいます。

長船さんは、ん? と首をかしげながらもお母さんの言葉に従いました。

お母さんの言葉に従ったら、コウモリは暗い方へと飛び出してきました。

しかも、その後ろにはお母さんがほうきを振り回しながら追っかけてきます。

そうです、気付いた方もいるでしょう。

コウモリは夜行性なので、暗い方へと飛んでいくのです。

そして、コウモリが飛ぶ先には長船さんが走っています。

コウモリよりも、お母さんの形相にびびって、長船さん逃げる。

そして、コウモリはなにを思ったか、長船さんの背中にべったりとくっついたのです。

「いーやー、背中についたー!」

「止まりなさい、すぐ取ってあげるから」

そうお母さんにいわれても、ほうきを振り回していただけに、説得力にかけます。

家なんてそう広くありません。

すぐ逃げ道を失い、長船さんはどうしようと迷っていました。

その間に、お母さんはリーチを縮め、長船さんが気付く前にほうきを振り下ろしました。

バシーン!

長船さんは背中に衝撃を感じました。

しばらくすると、力つきたコウモリが長船さんの背中からポトリと落ちていきました。

こうして、コウモリは退治されたわけです。


それにしても、どこからコウモリが入ってきたのだろう。

そこがとっても疑問です。



←作者の方に
  ファンレターを送れます。


     戻る