こっちの世界ゾ〜ン第四十参夜「チャンネル」

TOMOさん


いつも、楽しく読ませていただいております。

何か書きたいなぁと思って、一生懸命思い出しましたが、これしか思いつかなかったのです。

大した話じゃないんですが・・・


あれは、私が出頭で新潟の某旅館に泊まったときのこと。

使い慣れた旅館でしたので、いつものようにミーティングを終え、

食事の後、みんなで散々酒を飲み、いい気分のまま部屋へ戻ってきました。

ふふ〜ん、なんて鼻歌を歌いながら座り込み、

タバコに火を付けたとき、なんだか変だなと思ったのです。

(私、テレビつけっぱなしで出かけたっけ?)

テレビでは楽しそうなバラエティー番組が流れていました。

(きっと、そうなんだろうなぁ・・・・だって、ついているんだから。)

そのまま、お茶をつぎ、ぼーっとテレビを見ていました。

カチャッ

番組が変わりました。

なんで?私、リモコンに触ってないのに・・・

カチャッ、カチャッ、

カチャッ、

カチャッカチャッカチャッ、

不規則なリズムでチャンネルが変わっていきます。

うっわ〜、これは、ちょっとやばいんじゃないの?

そう思った私は酔いが覚めていくのを感じました。

そうだ、もう寝ちゃおう!!じゃぁ、歯を磨いてこよう!!

洗面台に行くと、仕事仲間の男性がいました。

ヒゲも立派な濃い顔系のダンディーなおじさまでした。

「あの〜、部屋のテレビのね、チャンネルがね、カチャカチャ変わるんですよぉ」

救いを求めるように(わざと)すがるような目をしてみたのですが、

「そうか!わはははは・・・」

ちょっとひきつったような笑顔をして、部屋に帰ってしまいました。

そういえば、見かけに寄らず、恐い話全く駄目なんだったなぁ・・・

諦めた私は、歯を磨き終わると部屋へ帰りました。

部屋のテレビでは、相変わらずチャンネルが変わり続けています。

(よし、寝よう)

リモコンを手に取り、スイッチを切りました。

電気も消して、布団に潜り込むと、

カチャッ

と、テレビがついたのです。

「もう、やめてよねぇ!!」

私はテレビの本体のスイッチを切りました。

これでまたついたら、もうシャレになんないよなぁ・・・

そう思いながら、いつのまにか眠りについてしまいました。


翌日、宿のご主人に恐々たずねました。

「あのぉ、部屋のテレビがちょっと変なんですけど・・・」

ご主人は笑顔で答えてくれました。

「ああ、あれねぇ、壊れてんだよ。」


・・・・壊れてるんなら、早くなおして下さいよ。



←作者の方に
  ファンレターを送れます。


     戻る