こっちの世界ゾ〜ン第四十四夜「リモコン」

奥村紀子(真名)さん


連日連夜の実験で、とうとうダウンしてしまった時の話です。

もう、運転もやばい、と思った私は、珍しく4時に研究室をひきました。

なんて珍しいのだろう。

いつもは8時9時がざらなのに。

それだけやばかったんです。

運転中、何度となく、「あっちの世界」の電波を感じながらも、

「こっちの世界」にしがみつき、やっと家につきました。

家では、珍しく早く帰ってきた私に両親はとても喜んでいました。

久しぶりの家族の交流。

しかーし、私はすぐ冷房ガンガンの部屋

(我が家では冷房は応接間にしかついていない)に閉じこもりました。

夕飯も食べずに寝てしまった私を無視して、母は仕事がひけるとテレビを見出しました。

9時に私は目を覚ましました。

テレビがついていました。

(今日は、料理勝負がやってる日だな)

母はちょうどトイレにいなくて、私はテレビをかえることにしました。

しかし、リモコンが見つかりません。

怪しげな行動をとりながらリモコンを探す私に、母は、すぐに察してくれました。

「はい、リモコン」

そういってリモコンを渡してくれました。

しかし、渡されたのはエアコンのリモコンでした。

「ちゃうねん!これは、エアコンのや」

突っ込んだら、母は、おかしいな、と首を傾げて、手の中のリモコンを見て、顔を真っ赤にしましたとさ。

おしまい



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