こっちの世界ゾ〜ン・第四十八夜「酔っぱらいの恐怖」
奥村紀子(真名)さん談
酒が飲みたいなー。 やはり、酒は日本酒の甘口っつよ。 辛口でもいけますけど・・・・辛いの苦手です。 酒が飲めないかわりに、酒を飲んだ時の話をしましょう。 研究室の忘年会のことでした。 病院で検査を受けた後、私は直で研究室の忘年会に行きました。 骨折しているのに、酒を飲むなんて不届きなやつめ。 この時は、飲むつもりはなかったんですよ。 それが、そういうわけにはいかなかったんですよ。 とりあえず、乾杯が終わり、私は食べることに集中しました。 食べている間、同輩たちは先輩たちに酒を勧められていました。 私は怪我人なので、あまり勧める人はいません。 片手でカニを食べていると、そこに雪山先輩(仮名)が盛り上げるためにビールを持ってやってきました。 研究室で飲むのは始めてな私は、雪山先輩が来た途端、まわりの空気がかわるのに気付きました。 「どうぞ、先輩」 と勧めると、まわりの院二年の先輩たちはここぞとばかりに雪山先輩に飲ませるではないですか。 最初はいやがっていた雪山先輩も飲みます飲みます。 そして、ある時を境に、雪山先輩はがらりと変わりました。 「先輩、私がついだお酒が飲めないっていうんですか!」 形勢逆転。 雪山先輩は院二年の先輩たちに酒を飲ませるではないですか。 私の同輩たちは、真っ先に逃げました。 そして、カニに苦戦していた私は逃げ遅れました。 私が骨折したのは左肩。 そして、なにを思ったか、雪山先輩は左側に座るんです! まだ、状況が把握できない私は、雪山先輩に愛想笑いをします。 すると、 「奥村さん、元気?」 なんつうって、私の左肩をばんばん叩くではないですか! (痛い痛い痛い痛い痛い) めっちゃくちゃ痛かったです。 私は痛みに耐え抜きました。 「元気です、先輩」 「んじゃ、飲め!」 愛想程度に飲んでいた私のコップに冷や酒をなみなみと入れました。 飲まなきゃ殺される。 なんとなく、そう思いました。 そして、半分くらいを飲むと、満足したのか、ほかの場所へ行ってしまいました。 (ここは、左側を気をつけなければ) そう思って気をつけていたのに、数分後、また左側に雪山先輩が座ります。 そして、 「奥村さん、元気?」 ばしばしばしばしばし。 (痛い痛い痛い痛い痛い) 目に涙がたまってきました。 それでも、笑顔で「元気ですー」と答えました。 そして、再び冷や酒を飲まされました。 酔っぱらいには気をつけましょう。 おしまい |
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