こっちの世界ゾ〜ン第六夜「ある峠での出来事」

螺旋さん談


先日、会社の仲間とスキーに行ったときのお話です。

いたこ28号さんのぽりしーにのっとって、私の話もすべて実話です。

私たちは4人で1台の車に乗り、深夜から早朝にかけて、スキー場に出かけました。

本当は5人で2台の車で行く予定でしたが、一人が急に体を壊し、これなくなりました。

11時に出発し、スキー場で一眠りしてからスキーをする予定でした。


運転は霊感を持った彼女と付き合って、ひどい目にあったTさん。

私は後部座席のTさんと対角の位置に座っていました。

運転はTさんに任せきりだったので、眠らないようにみんなで話しながら行く事にしました。

しかし、私の隣に座っていた早寝早起き(アニメオタク)のYはさっそうと寝ていました。


しばらくして、道は峠のようなところに差し掛かりました。

カーブを曲がるとき、Tさんが一瞬、身震いをしました。

Tさんは、

「何かここって気持ち悪いんだよなぁ。何度通っても寒気がする」

と、言っていました。

私はそのたぐいの事は信じないものの、やたら気になり、私はさっさと話題を変えました。


私も同じ感じがした事を黙って…


しばらくして、さすがに眠気が襲ってきたのか、Tさんはさっきから同じ曲が流れていた

テープ(MD)を替え、もっと明るい曲をかけました。

会話も無くなりかけ、みんな何気なくその曲を聞いていました。


しかし…?


私は何か変な感じがしました。

他には誰も気づいていないみたいです。

耳を澄ましてみました。

………………

それは歌声でした。MDの歌に重なるように、歌声が聞こえてきたのです。

ぼんやりと、聞こえるか聞こえないかの声で。


私は前にいた二人に確認を取りました。

「えぇ?聞こえないよ 」

少し耳を澄ますしぐさをした後、そんな返事が返ってきました。

気のせいかと思い、しばらく黙っていました。

すると、


「あ…聞こえる…」


Tさんが言いました。

そしてもう一人も聞こえたみたいです。

少し気味が悪くなり、隣に座っているYの様子を見ました。

彼はまだ寝ていました。

図太い神経だと思いましたが、何か彼の様子が変な事に気がつきました。

あれ?と思って彼の様子をじっくり見ました。

すると…


口が動いてる…?

暗いので、近づいてよく見ると、


「うたってるよー!?」


思わずデジタルビデオカメラのCMみたいなことを叫んでいた。

そう。彼は寝ながら歌を歌っていたのだ。


無意識だった証拠に彼はその後、むくっと起き上がり、

「あ、アニメタルだ」

と、流れてる曲に対して言いました。


眠りながらアニメタルを歌うアニメオタクのY。

おそるべし…


これらは全て実話です。

しかし、多少の脚色がある事をご了承ください…





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