こっちの世界ゾ〜ン第六十五夜「光るトカゲ」

奥村紀子(真名)さん


とうとう、実験で病気になってしまった。

病名は、「熱射病」。

温室で長時間に渡る作業と寝不足がダブルアタックしてきました。

そして、今日はまだ完全に回復していないのに、実験が・・・・

ふふふ、いつか車で事故るかも。


実験のため、また、夜遅くに家に帰ることになってしまった。

学校を出たのは11時。

家についたのは、コンビニでコーヒーを買ったため、12時に。

もちろん、私の家族は就寝中。

裏の車庫に車を置いたのだが、なぜか、車庫の電気が故障。

そして、私が帰ってくるなんて考えていないのか、家全体の電気まで消されていた。

ううう、なんか、淋しい。

仕事道具につまずいたり、それで服を汚しながらも、どうにか台所についた。

そして、めちゃくちゃ遅い夕御飯をとろうとして、ふと、視界の端に見慣れない物が!

玄関の辺りで、なにか光っている。

気にするな、と思っていても気になってしまう。

だから、よーく目をこらして見てみた。

光っている物はトカゲだった。

うぉー、トカゲが光っとる! しかも、こっち向いとるやんけ。

びびった私はとりあえず、幻覚だ、と何度も口で唱えた。

そして、もう一度見ると・・・二匹に増えていた。

なんでやー! しかも、両方とも私を見てるー!

ところが、不思議なことに、光るトカゲは動かない。

んん?

変だな。

トカゲにしてはでかい。

少しずつ距離を縮めて、光るトカゲに近づく。

そう、光るトカゲは玩具だった。

しかも、兄が送ってきた宅配物の一番上にわざわざ置かれていた。

「もう、寝よう。疲れてるんだ」

それで夕御飯も食べずに、寝てしまいました。

おしまい





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