こっちの世界ゾ〜ン・第八十八夜「俺の怖い体験」
SSTさん談
あれは高校2年の時だ。 同じ2年3組に、みんながよくパシリに使っていた飯田という男がいた。 何というか、いじめの対象になりやすい性格というか、 飯田はいつもだれかにこき使われていた。 いつもパンやら、ジュースやらを売店に買いに行かされていた。 そういうことに文句1つ言わないやつだったので、 みんなが、(女子までもが)パシリに使いまくる有様だった。 そんなある日のことだった。 クラスでも結構リーダー格の西田というやつが、そいつに言った。 「おい、飯田。本屋でジャンプ買ってこい。」 ジャンプというのは、説明するまでもない「週間少年ジャンプ」の事だ。 田舎では、きっちり火曜日に発売されるので、 その日が火曜日であったことは間違いない。 10分ほどして、飯田が息を切らして帰ってきた。 「おー。おせーじゃねーか飯田あ」 本屋までは、歩きで片道10分くらいはかかるほどの田舎だった。 飯田が一生懸命走ってきたことは言うまでもない。 「ご、ごめん。」 お約束通り、飯田は謝った。 「さっさとよこせ。」 金も払わず、お礼も言わず、西田はいいだの持っていた本をひったくった。 ほんの包み紙をびりびりとこじ開けた。 そして中身を取り出した。 ???何か変だ。 周りにいる誰もが思った。ジャンプにしては、妙に薄い。 一番驚いていたのは西田だった。 「な・・なんじゃ、こりゃ??」 西田がまじまじと表紙を見ていた。 周りにいた奴らも、こぞって表紙をのぞき込んだ。 すると、そこに書かれていたのは。。。。。。 ・・・・ 「美少女コミックジャンボ」 ・・・・・周りにいたみんなは、あっけにとられた。 ジャンボというのは、ロゴもジャンプによく似た、エロ漫画雑誌だ。 しかも、ジャンプより割高の・・。 飯田は得意そうな顔をしていた。 こんな飯田を見たのは初めてだった。 しかし、次の瞬間、飯田は西田とともに消えていた。 ふと目をやると、トイレから飯田の悲鳴が聞こえてきた。。。 何であのおとなしい飯田が、あのとき、恥ずかしい思いをしてまで (しかも、制服のまま)、エロ漫画「ジャンボ」を買ってきたのか。 しかも、フォローがなかった。 そのとき、ジャンプも一緒に買ってきてたら、 西田はあんなに怒らなかったかもしれない。 今にして思えば、、 あれは飯田の精一杯のギャグで、精一杯の抵抗だったのかもしれない。 たとえそれが、ジャンプとジャンボの違いだったとしても・・・。 |
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