こっちの世界ゾ〜ン第十弐夜「墓場から近づく者」

ドラシュガンさん談


友人Hは学生時代に、東京都の某所にある寮に住んでいました。

ある夜、お腹の空いたHは、寮の近くにあるコンビニへ出かける事にしました。

寮とコンビニの間には小山があって、普段はその山を迂回する広い道路を使うのですが、

腹が減っていたHは、多少は近道になる小山越えの細道を行く事にしました。

その細道を利用すると、途中にお寺があるために墓場の横を通ることになります。

しかし、Hは特に気にする事無く、その道を通りぬけコンビニに到着しました。

そしてその帰りのこと。再び細道を歩き、墓場の横を通りかかると、


    ガランッ


暗闇に包まれた墓場の奥から、鈍い金属音がしました。


  H(何だ? ・・・・・)


気になったHが、墓場の方を見ると、


    ガランッ


今度は、もっと近くから音がします。Hが不気味に思っていると、


    ガランッ ガランッ ガランッ


鈍い金属音はどんどんHに近づいてきました。


  H(何だ何だ何だよぉぉぉ!)


近づいている音に、Hは激しい恐怖を感じました。そして、


    ガラランッ


2〜3mぐらい先からする金属音と同時に現れたのは! 坊主。


  H(ぎやぁぁぁ! ぼっ、ぼっ、ぼっ、ぼうずぅぅぅ!)


慌てるHに向かって、さらに坊主が近づく!


  坊主「こんばんわぁ」


  H_(しゃっ、しゃべったぁぁぁ! ・・・・ うん?)


  H_「・・・あっ、ご住職。こんばんわ」


良く見ると、そこのお寺の住職が尺を入れた鉄製のバケツを持って立っていた。 

なんでも、夜にお墓の見回りをして、供え物が地面に落ちてたら直したり、

備えてある花が枯れてないかチェックしたりしてるそうです。


気を付けよう、甘い言葉と暗い墓場!





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