こっちの世界ゾ〜ン第弐夜「カッコイイのがい〜い!」

ドラシュガン(マイナー・スペル)さん談


カッコイイのがい〜い!(前編)

≪記事欄を3段使います。お許しください≫


この話は私にとって死ぬ思いの恐怖体験ですが、皆さんはどのように感じるのでしょうか?

ダイビングの話なので、興味がある方には参考になる・・・かもしれません。

記憶不鮮明部分、登場人物のセリフやリアクション等は多少脚色してますが、概ね実際の出来事です。


約2年程前、会社の同期がハワイで結婚式を挙げることになりました。

式に自費参加するついでに、私と友人Mはツアーの計画を立てておりました。

M「俺、ハワイでやりたい事があるんだ」

私「何やりたいの? 何? 何?」

M「ダイビングなんだけど」

私「いいねー! おれもやる! 気持ちよさそう」

M「一度やってみたかったんだ。スカイダイビング」

私「・・・え?」

という事で、私達はハワイでスカイダイビングをする事になりました。


さて、いきなりですがハワイ2日目の朝、スカイダイブの日がやってきました。

ホテルの入り口で、ダイビング会場からの送迎車を待っているとき、私はずっと考えていました。

私(一度ぐらいはやってみたいけど、怖いから辞めよう)

そこへ1台の車が止まります。すると車の中から女性の声がします。

「こんにちわー」

送迎車には可愛らしい日本人女性が2人、我々も2人、ラッキー!!!

しかも2人はOLさん。同じ社会人ということで会話も弾みます。


スカイダイビング場はオアフ島のほぼ北端なので、ホノルルからではかなり遠距離です。

しかし、OLさん達と談笑してたので、いつの間にか目的地に到着しました。

私(彼女たちに、いいところを見せなければ!)

情けな〜い男の性(私だけの性?)。

「死ぬかも・・・」という恐怖より、女性に「いいとこ見せたい!」という気持ちが勝ってしまいました。

わかってくれますよね? > 男性諸君


最初に我々がしたことは、説明用ビデオの鑑賞です。

ビデオにはタンデムで気持ち良くスカイダイブしている日本人青年が映っています。

【タンデム:ダイバーとインストラクターの2人で1つのパラシュートを使うスタイル】

フリーホール(落下状態)がしばらく続き、やがてパラシュートが開く。

そして着地した青年がカメラに一言。

「最高!」

う〜〜〜ん、楽しそうだ!

話によると、フリーフォール(落下状態)が約1分、パラシュートでの落下が約4分だそうです。


その次に我々がしたことは契約書のチェック、およその内容は、

●万が一、あなたが死ぬ事になっても、当方では一切責任は負わない。

●あなたによって生じた、当方のインストラクター、器材等の損害は、全てあなたが賠償すること。
 
etc.etc.

うーむ。

いやーな気分になってきた。

どうせ認めない項目があったらダイブできないんだろう?

どうにでもせい!全部イエスじゃ! 


そして我々は簡易講習を受けます。

インストラクターの掛声に合わせ、

「スリー、トゥー、ワン、エービゾーリー」

と、海老反りすること2〜3回。

・・・本当にこんなんで大丈夫なのだろうか?


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カッコイイのがい〜い!(中編)

≪記事欄を3段使います。お許しください≫


いよいよスカイダイビング本番です。

ダイブの順番は、OLさん(もう一人は見学)、友人M、最後に私です。

みんな始めての挑戦なので、ダイブ中に記念撮影をする事になりました。

OLさんとMはビデオで、私は写真でお願いしました。

1番のOLさんがセスナに乗り込むと、そのまま空高く飛んでいきます。

待つ事約30分、空には小さくパラシュートが見えてきます。

「おーい! こっち、こっちー!」

なんて呼びかけたり、手を振ったりして彼女に向かって合図を送ります。

やがて、彼女が地面に到達。みんなで出迎えます。


そのあと来客室に戻り、ダイブ中の彼女が撮影されたビデオをみんなで鑑賞します。

映画「トップガン」のサントラに乗せて、彼女がセスナに搭乗します。

画面は切り替わり、セスナ機内のプリティーな彼女を映し出します。

そして大きく口を開けているセスナ側面より、いよいよダイブ!

その瞬間の映像は、時には通常スピードで、時にはスローで数回繰り返して流れます。

その爽快なシーンにみんなが拍手喝采で歓声をあげます。

フリーホール中の彼女はカメラに向かってにこやかにラブ&ピースのサイン。

【ラブ&ピース:正しい呼名なのか不明(誰か正式名をご存知でしたら教えてください)。

親指と小指を立てるサイン、ハワイのVサインみたいなもの】

やがて、無事着地してみんなでポーズを決めてビデオ終了。

すばらしい仕上がりのビデオにみんな喜んでいる・・・私以外は・・・

私は自分のダイブする順番が近づく現実に、だんだん恐怖が復活してきました。

じゅっ、順番が回ってくる! どっ、どうしよう? いいカッコもしたいし・・・


やがて、2番目にダイブする友人Mがセスナへ向かう。

≪≪≪あとはOLの彼女と同じ (こいつの事はどうでもいいや)≫≫≫

私はMのビデオを見て、更に恐怖が押し寄せる。

もし、パラシュートが開かなかったら。。。

もし、自分を支えるベルトが切れたら。。。

もし、風に流されて海に落ちてサメに食われたら。。。


ついに私の順番です。

セスナに乗り込む私の顔は、きっとヒクヒクしてたでしょう。

ブルッ、ブルッとセスナは動き出し、しばらくして大空へと離陸します。

セスナはどんどん高く舞い上がり、見送るみんなが小さくなっていく。う〜〜〜ん高い。

ときどき ガクガクッ とセスナが激しく揺れて、私をとってもビビらせます。

やがて外の景色に白い物体。

セスナは雲を突き抜けて、時折激しく揺れながら、高く高く飛んでいくのであった。


高度約4000mに到達。

私たちはゴーグルを装着すると、インストラクターが私を抱えて降下口までズルズルと運んでいく。

そこはあまりにも高すぎて、下界を見下ろす気になれません。

私(つっ、ついに飛び降りるのか、・・・やっ、やめちゃおうかな〜)

降下口でインストラクターが下を見て身構える。

ダイブは近い!

ある意味「あっちの世界」に接している私は、諦めの気持ちで死ぬ覚悟をしました。

私(俺は死ぬ・・・・・・みんな、さようなら)

インストラクターの掛声とともに私たちは勢いよくセスナを飛び出した。


「Wooooo Hahーーー!」


ガンッ!


突然襲った私の不幸。

まさかこんなことになるなんて・・・


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カッコイイのがい〜い!(後編)

≪申し訳ありません。文字数の関係で記事欄を4段使います。お許しください≫


我々は大空へダイブする高度4000mに達しました。

そして、インストラクターの掛声とともに私たちは勢いよくセスナを飛び出した。


ガンッ!


私は背が高かった(180cm以上)。

インストラクターより高かった。

セスナを飛び出した瞬間に、降下口上部に額をぶつけていたのでした。

私「いったたた・・・」

額の痛みに苦しみながら、私たちは落下していく。

気が付けば視界が狭い。

というか目がうまく開かない。

なぜだ?

目を触るとゴーグルが上にずれている。

どうやら額をぶつけた時にずれてしまったようだ。

これにより、ゴーグルが下まぶたを持ち上げて視界を遮っているのだ。

私は必死でゴーグルを直そうとするが、風圧でくっついて動かない。

フリーホール状態の我々は、どんどん加速されていき、風圧も増していく。

私「目がーー!押さえつけられるーー!額も痛いーー!」

すると前方から声がする。

??「ハーイ! ニッコ、ニッコ!」

記念写真を撮影するカメラマンの声だ。

私「いえーい! ラブ&ピース」

私はお調子者。

ついカメラに向かって両手でラブ&ピースのサインで微笑む私。

【ラブ&ピースのサイン:正しい呼名なのか不明(正式名を誰か教えてください)】

親指と小指を立てて、一生懸命に愛想を振りまく。

・・・困った。

今の私はきっと変な顔。

笑える記念写真ができただろう。

カッコ悪過ぎだ〜〜!カッコイイのがい〜い!(>O<)


やがて、パラシュートが開いた。

その瞬間、私たちの身体は振り回されるが、すぐ落下速度が弱まる。

ここでゴーグルを外せるようになり、やっと目が開放されたことに一息つく。

周りの景色も良く見えて、遥か下の方には海岸線が見え・・・・・・高い! 高すぎる! 

再び私を襲う高所の恐怖。

パラシュートが破れたら死ねる!

ベルトが切れたら死ねる!

海に落ちたらサメに食われて死ねる!

サメの餌になるのはいやじゃ〜〜!!

はやく、はやく降ろしてくれ〜〜!!!


パラシュートが開いてから数分(私は数時間に感じられたが)やっとスカイダイビング終了です。

着地場所には既に友人MとOL2人が待っていた。そして最後にみんなで記念写真。

恐怖で足はガクガクだったが、私はとびっきりの笑顔でポーズを決めました(^^;

私の場合、ダイブ中の記念撮影が写真で良かった。

ビデオの場合、OLさんの時のように来客室で上映会が始まってしまうので、

額をぶつけてるシーン等をみんなに見られてしまうからだ。

は、恥ずかしすぎる。


しばらくして、みんなで来客室へと戻ります。

代金を払わないといけませんからね。

私が財布を開いていると、案内役の方が現れて我々に向かって言いました。

「さあ、ビデオを見てみましょう」

私「?!私は写真を頼んだんですけど・・・」

「ええ、写真の方でもね、ビデオは一応撮るんです」

ショーーーック! 


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カッコイイのがい〜い!(完結)

≪申し訳ありません。文字数の関係で記事欄を4段使います。お許しください≫


すぐに36インチ程の大画面で、私のビデオは上映されました。

映画「トップガン」のサントラが流れ、私がセスナに搭乗します。

やがて、画面は切り替わり、セスナ機内の作り笑顔の私を映し出す。

M「なーんか顔引きつってない?」

私はひたすら微笑んでいると、テレビには私がセスナを飛び出すシーンが!



セスナから飛び出す! 額がガンッ!

セスナから飛び出す! 額がガンッ!

セ ス ナ か ら 飛 び 出 す!  額 が ガーンッ!


写ってます(;_;) セスナから飛び出す瞬間に、私の額が降下口上部に激突するシーンが

3回も繰り返し流れ、しかも最後はご丁寧にスローモーションで。。。

気が付くと、みんなの視線が私に集中しています。そしてMが額に手を当てて聞いてきます。


M「・・・ひょっとして・・・ぶつけた?」


私は彼の目を見つめ、小さくうなずきました。

爆笑、爆笑、爆笑のみんな。

は、恥ずかしいーーー!(T-T)

映像はフリーホール中の私に段々近づいていきます。

そして私の顔がアップに!

キツネのような目で不気味に笑う私。

へっ、変な顔!

そんな顔でカメラに向かって両手でラブ&ピースのサインをしながら・・・ありゃ?

私の両手は、親指と小指、それに人差指も立っている。


M「お、おまえ、変な顔で グワシ してんじゃねー!」


更なる爆笑に包まれる私。

みっ、みじめーーー!(T^T)


こうして、死ぬ思いで笑いを取った私のおかげで、この日はOL2人と行動を共にするのであった。


「カッコイイのがい〜い!」完


【この話の教訓】

●映像は、決定的瞬間を多くの人に伝える事ができる。

●背の高い人間は、如何なる時にも額に注意すべし。

●男は、死を覚悟しなければ、女性のハートは掴めない・・・かもしれない。





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