こっちの世界ゾ〜ン・第四十四夜「よくある話?」
爆裂ももちゃんさん談
ぱわっちさん、りあるさん。 元気を出してください。 体を汚されても、心まで汚れることはありません。 そんなお二人の為に私の友人の体験談をささげます。 さて、決して報われることのない愛ほど、辛いものはございません。 しかし、奉げられた愛に応えることのできない場合もまた然り…。 今回もそのような、悲しい愛のお話でございます。 学生時代からの友人で「ごんちゃん」(仮名)という、それは愛くるしい男性がおりました。 彼は日本国籍を持ってはいたものの、人生の大半を異国で過ごした帰国子女。 黒目勝ちな瞳、ぽってりとした形のよい唇、小麦色の肌。 頭の回転も速い上3ヶ国語を話し、性格も陽気で優しく真面目。 たどたどしい日本語と少々ぽっちゃりした 体形までもが母性本能をくすぐる、そんな魅力的な男性でした。 大学を卒業したごんちゃんは、新入社員として忙しい日々を送っておりました。 しかし、新入社員とは、とかくお金がないものです。 彼も例外ではありませんでした。 そんな時、学生時代にバイトをしていた会社の社長からお食事の誘いがありました。 美味しいものが好きなごんちゃんは喜んで出かけました。 そうして、禁断の扉は開かれたのです…。 美味しい食事の後、社長は「就職祝い」と称して銀座のクラブに連れて行ってくれました。 ごんちゃんは大喜びです。 次に社長は「しゃれで行ってみようか」と、新宿2丁目のクラブに連れて行ってくれました。 明るいごんちゃんはそこでも人気者でした。 何故か2丁目のクラブを2件、3件とはしごをするうちに夜も更けて参りました。 「電車もないことだし、私の家に泊まりなさい。」 との社長の申し出に、彼は「タクシー代が浮いた」と内心喜んでおりました。 家に着くと社長はビデオを見ないかとごんちゃんを誘います。 初めの内は♂♀のビデオでした。 …しかし、次のビデオは♂♂でした。 何か変ですが、素直なごんちゃんはこれも日本風の「しゃれ」だと思ったそうです。 …が、暫くすると社長の吐息が彼の首筋をくすぐり始めたのでございます。 このときになって初めてごんちゃんは社長が何を考えていたのか理解したそうです。 その後の詳しい出来事について、ごんちゃんは多くを語ろうとしません…。 ただ「本当に恐かった…でも、最後までされていないよ…。」その一言です。 とにかく若さと腕力で窮地を脱し、別の部屋に逃げ込み内側から鍵をかけました。 そして始発電車の動くのを待って、家に逃げ帰ったそうです。 (ここですぐにその家から逃げなかった理由を聞いたら、 「だって、タクシー代がないんだもん。」とのことでした。お気楽すぎるぞ!ごんちゃん!!) 数日後、社長から電話がありました。 ごんちゃんははっきりと、彼にとって男性は恋愛対象になり得ないことを告げました。 すると社長は本当に驚いた声で一言つぶやいたそうです。 「…君は、間違いなく同じ世界の人だと思ったのに…。」と…。 語学を習得するには、その言葉を母国語とする恋人を作るのが一番早いと言います。 ごんちゃんもそれに倣って、 日本に帰ってからは日本人のガールフレンドを作り、彼女から日本語を学びました。 しかも、ただでさえ女の子にもてる彼です。 彼を取り巻く女性達が使う、様々な日本語の言いまわしが身につくのも自然な流れといえましょう。 そう、彼の日本語は女言葉が基礎になっていたのです。 そして、今回のような悲劇を招いてしまったのでした。 余談ですが、その社長は仕事ができ、 頭も面倒見もい立派な人物だったので、学生時代にごんちゃんはとても尊敬していたそうです。 誤解の原因を知った後はかなり落ち込んでいました。 |
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