こっちの世界ゾ〜ン第四十七夜「木を見て森を見ず」

ぱわっち(ぼうちょー)さん


故あって、休日出勤している「ぱわっち(ぼうちょー)」です。

なんかくやしいのでひとネタ書かせて頂きます。


..あれは、もう去年の今ごろになりますか...

今日の様に休日出勤していた日の事です。

朝から何も食していない私は「昼飯なに食うべぇ」などと物思いに耽っておりました。

その時、親しいK先輩達数人に呼び止められまして、こう言われました。


K先輩「よぉー、ぱわっち昼飯どうするんだ?

まだ決めていないなら出前でも取ろうかと思ってんだけど一緒に頼むか?」

私「え、いいんですか? 是非お願いします!! ...

でも、メニュー(出前のある店は大概常連客にメニューをくれます)なんて無いですよね!?」

月並みなものに飽きていた私は「たまには、毛色の違うものを食いたい」という

気持ちがあった為、つい余計なひとことを言ってしまいました。


K先輩「メニューか? うーん、どっかやっちゃったんだよな..」

困惑しているK先輩に、しまったと思った私は

「やっぱりざるそばでいいです」と言おうとした時に横からY先輩が

Y先輩「ぱわっち、じゃあこっちの方を頼むか?」

とピンク色した紙を私に手渡しました。


私「あ、スイマセン...」

紙を受け取った私は、メニューに目を落としました。

この時、最初に私の目に飛び込んできたものは

「きのこの森の妖精 ¥3,900」というベラボーに高い品物でした。

心の声「ゲ、高い!!他はどうなってんだ?」とひととおり値段に目を合わせて見ましたが

いずれも3,000〜7,000の品ばかり。

私は思わず顔を上げて

「高いッスよコレ、びんぼーな俺にはキビしすぎますよ!!」とY先輩に訴えかけました。

Y先輩「そっかー? 相場的には普通だと思うけどな...?」

「Y先輩って、もしかして"お金持ちの坊ちゃま”でいらっしゃるのかしら...?」

と下世話な事を考えていた、その時


「せんぱーい!なんか楽しそうな話してますけど、どうしたんですか?」


..後輩のYちゃん(女性)が尋ねてきました。

私「おー、Yちゃん実はさー、これからK先輩達と一緒に出前とるんだけどYちゃんも頼む?」

と手に持っているメニューを彼女に渡しました。

私「ちょっと高いんだよねーコレ、しかも変わった名前の品物ばかりだし...」

声を掛けた私をよそに、Yちゃんは顔を赤くして小刻みに震えています。


私「Yちゃん? ...どうしたの?」

Yちゃん「...先輩、先輩ってそういうことをする人だったんですか!?」

私「へ?」

まさに「ハトにまめてっぽー状態」になった私を置き去りにしてYちゃんは足早に去っていきました。


事情が飲み込めない私にY先輩が話し掛けました。

Y先輩「ぱわっちーーーー(絞り出す様に)、セクハラはイカンだろ、セクハラは!?」

私「セ、セクハラですか?(窮)

俺はYちゃんに先輩からもらった洋食屋のメニューを渡しただけですけど...」

言いかけてハッとした私は彼女が放り出していったメニューを読み返しました。

再び「きのこの森の妖精 ¥3,900」の文字を見つけ、

その少し上に目をやると「ロリータ物多数入荷」の文字が!?


私「先輩!!!!こりゃ ”宅配アダルトビデオ”のメニューぢゃないですか!?」

Y先輩「はぁ?おまえ、今頃何言ってんだよ?」

私「俺はてっきり洋食屋のデリバリーメニューだと思ってたんですけど...」

Y先輩「おまえ、"えらく長いノリつっこみ"かと思ったらホントに勘違いしてたのか...?」

私「そ、そんな、だって"きのこの森の妖精"なんていかにも

"しめじ"とか"マッシュルーム"とか入っているパスタ系(笑)の品に見えるぢゃないですか!?」

Y先輩「アホ!"きのこ"は"きのこ"でも、

俺やおまえが"自家栽培"してるきのこに決まってるじゃねーか!!」


今まで「スキの多い人生(by古谷実)」を送ってきた私は、

ここでも見事にスキをつかれてしまったのです。

「まずい!!このままではセクハラ男として

全女子社員から毛虫の様な扱いにされてしまう!!」

今まで築き上げてきた信用が完全消滅することに恐怖を覚えた私は

ダッシュで彼女を追い掛け、必死に事情を説明しました。

...長い説得の末、やっと私の言うことを理解してくれたYちゃんは

Yちゃん「先輩って、前から思ってたんですけど"すごい天然ボケ"なんですね...」

と顔をひきつらせながらのたもうておりました。ほんと、トホホです。


(終劇)





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