こっちの世界ゾ〜ン第六十壱夜「ニュー8x4」

千里さん


お医者さんに関するネタです。

僕は以前、看護婦さんとお付き合いしていたのですが、その彼女の職場であった出来事です。


救急車で運ばれてきたA氏は56才、

妻子を持つ実に紳士然としたナイスミドルなおじさまでした。

A氏は十日以上もお通じが無く、

極度の便秘でお腹がパンパンに腫れ上がり、痛みも尋常ではなかったそうです。

医師はさっそく肛門から小型カメラを入れて、腸の内部の診察をする事にしました。

ところがカメラは5センチも入りません。

何か銀色の物体に当たり、それ以上進入出来ないのです。

腸内に何があるのか・・・医師はレントゲンにて確認することにしました。

レントゲンに写し出されていたのは、缶の様な物体でした。

医師は冷静にA氏に質問をします。

「何か異物を挿入した覚えはありますか?」

その問いにA氏は暫く狼狽えていましたが

「・・・・・・む、娘の化粧品を・・・」

医師はA氏を気遣いあくまでも冷静に

「手術で取り出しますので、ご心配なさらないで下さい。3・4日の入院で済みますから」

と告げると、別室で控えていたA氏の奥さんの元へと向かいました。

手術をする場合、家族の同意が必要だからです。

事情を説明された奥さんは、

真っ赤な顔で同意書を書くと、すぐさま家に帰ってしまったそうです。

手術が終わり、A氏の肛門から『ニュー8x4』の缶が取り出され、

溜まっていた便も全て排出し、4日後にA氏は1人で退院していきました。

その後、彼が家族とどのように過ごしているかはわかりません。


この話を聞いて、僕は彼女に

「でも、制汗デオドラントの携帯用ぐらいの缶なら、つまらないで出てきそうなのになぁ」

それを聞いた彼女は笑いながら僕にこう告げました。


「あんた何言ってるの、お徳用の大きい缶が入ってたんだよ」




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