こっちの世界ゾ〜ン第六十七夜「グルメ紀行エトセトラ」

命知らず(しつちょー)さん


一品目 「じいさん二度ビックリ! 阿蘇高原へねもねしょうゆ漬け」


私が家族で阿蘇へと出かけたときに味わった、珍味。

製法は定かではないが、長い間使わず少々変色した醤油に、

正体不明の、うごめく白い小さな虫を住まわせ、生野菜に調味料として用いる。

うす味醤油として間違えて使用し、食すると、半日ほど激しい腹痛に襲われる。

下すわけではないので、安心。

一生に一度しか味わえないかもしれない、幻のメニューである。

運がよければ国道沿いの、つぶれそうな食堂で見つけることができる。

勇気のある方はどうぞ。



ニ品目 「貴族御用達! 東京名物白毛キムチ」


これも製法不明。

東京都内の、とある橋の下にある屋台で販売されている。

田舎から上京した、キムチを見たことのない通称かっぺが、時々運良く巡り会うようだ。

高貴な雰囲気の白いひげが、キムチの全身に生えている。

その風貌通り、王族にしか食べられないようで、

市井の者が食べると胃が受け付けずに逆流する。

当然、下す。

天罰を恐れない、不信心者の踏絵としてどうぞ。



三品目 「安全発酵食品! あおかびウスターソース」


製法は簡単。

賞味期限が過ぎたウスターソースを、二年ほど放っておけば出来上がり。

一般人には味の違いは感じられないが、グルメは敏感に反応する。

体質によって、受けつける者とそうでない者とがいるらしい。

いわば、選ばれた者のためのメニューである。

運試しにどうぞ。



四品目 「庶民の命! 水道水ミネラルウォーター」


これも製法は簡単。

おいしい熊本の水道水を、市販のミネラルウォーターのボトルに入れ、冷蔵庫で冷やす。

一般人には違いが分からないが、やはりグルメは絶賛する。

危険はまったくなく、自称グルメの友人に、ぜひともお勧めしたい。

きっと涙を流して喜ぶだろう。


以上、命知らず試食済みお勧めメニュー四品でした。


で、さくっと終わろうと思いましたが…

やい!阿蘇の食堂!俺は本当に怒ってるんだぞ!

しょう油を振ったら、黒い底から白い虫がうじゃうじゃと出てきたんだよ!

しかも生きてるんだよ!動いてるんだよ!

気がつかずにしょう油かけて、サラダ全部平らげちまったんだよ!

帰りに激痛で…マジで動けなくなったんだよ!

うがあああああああ!客をなめんじゃねえええええ!

ハァハァ…

それとT・M君、自分がグルメじゃないと素直に認めよう。




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