あっち世界ゾーン・第弐拾「祟り・・・しかし・・」その3

いたこ28号談



今回の恐怖体験談を、発表するのに2年かかりました。

実はとある草の根ネット数ヶ所で、この話をアップしょうとしたのですが・・・・

何故かいつも途中で書く気が失せてしまうのです。

何等かの「警告」ではないと思うのですが・・・・。



人間が詰まった部屋にはKは居なかった。

Tは私にKを呼びに行くので、彼の部屋まで一緒に来てくれと微笑みながら言った。


Kは部屋にいた。

しかし・・・相当ビビッていた。

「絶対見るもんか!」と、奴は本気で怒っていた。

「・・・しょうがないなぁ〜」と、Tは無言で私を見た。

部屋に戻ると、スプリクト担当の女A子がドアの前に立っていた。

「なんで始めないのよ。」と絡んできた。

すこし酒臭かった。

・・・A子は友人のG子と一緒にKを呼びに行く事になった。

ほっときゃいいのに・・・、無駄だろうなぁ。

マジで怒ってたもんなぁ・・・・。


部屋の中では、Tがあのフィルムをループで繋いでいた。

「ヤバクないか?」

私はTに耳打ちした。

Tは他の奴等に聞こえるぐらいの大声で

T「本当に信じているの?おばけとか。冗談だろう?」

私「・・・おい、おい。お前あれ見ただろう?あの現象をどう説明するんだよ。」

私も大声で言い返した。

Tは無気味に微笑み。

T「・・・・だから、いまから秘密を解き明かすんだよ。」

拍手が起こった。

相変わらずTは凄い奴だ。

でも、きっと馬鹿だ。

・・・・こいつ絶対いつか祟られて人生潰すな。

私は変に張り切っているTを見ながら彼の将来を心配した。


そこにKが現れた。

Kの両腕には、A子とG子がぶら下るように立っていた。

こいつも馬鹿だなぁ。

・・・こいつは女で人生潰すな。

私は鼻の下を長く伸ばしているKを見て彼の将来を心配した。


・・・・考えてみると。

ヤバイとわかっているのに、もう一度見ようとする俺も馬鹿か?


Kは私のそばに来て小さな声で囁いた。

「いい方法を考えたから大丈夫・・・。」

平静を装っているが、奴の顔は少し青かった。

お守りみたいなものでも持っているのだろうか?

「魔」に取付かれない方法でも研究して来たのか?

・・・聞いておこうかなぁ。

・・と考えていると、映写が始まってしまった。



踊る阿呆に見る阿呆。


人間が詰まった室内は、うるさかった。

ほとんど既にデキアガっている奴等なので、

奇声をあげるもの、口笛を吹くもの、殆ど宴会状態だった。


しかし、

あのシーンに成ったときには、流石に静まり返った。

酔っ払い達おも、黙らせる異常な現象。

やはり凄いことが起こっているのだ。

沈黙。

沈黙。

カタ、カタ、カタと8ミリ映写機の音だけが聞こえていた。

3回目の映写の時、止せばよいのにTが、ホラー映画の音楽をBGM代りに鳴らしだした。

・・・こいつ絶対祟られるぞ。

私はTを見た。

Tは無気味に微笑んでいた。


フィルムの中のアイツは、相変わらず増殖していた。

真ん中に止まり・・・、もう殆ど横を向いていた。

おかっぱの女の子?

横顔だが、目が異常につりあがっているのがわかった。

そして、

・・・口が無かった。


私は映写機の明かりを頼りにKを見た。

そこにはA子とG子の手を握り、必死で眼をつぶっているKがいた。

・・・そうゆうことか。


ちょうど8回ぐらい上映されたのだろうか。

突然映写機が止まり電気がついた。

A子「もう、やめようよ!」

どうやら恐怖に耐えきれず、A子が映写を止めたのだ。

・・・だれも文句を言うものは居なかった。

が・・・・。

Tが・・・・。

T「おい、おい、皆の集!何ビビッてんの?お化けを信じているの?」

S「・・・やばいよ。あれはやばい。」

T「この世に幽霊なんていない。もしいたら歴史に謎なんてないはずだよ。」

S「でもアレは説明できないぜ。だってよ。みるみるアイツの映っている

シーンが増えてきてるじゃないかよ。」

H「・・・・それに、少しづつ振り向いてきてる。俺達を見ようとしている。」

A子「もう、やめてよ。」

T「よく見たのか皆の集。・・・なにか秘密があるはずだ。」

Tがもう一度映写しようとした。

Kが止めた。

K「・・・やばいよ。アイツが振り向いたら絶対やばいよ。」

T「あのなぁK君。幽霊とか心霊現象と思うから、ビビッてしまい、事実を見落としてしまうんだ。」

私「・・・でもアレは心霊現象だよ。」

T「・・・じゃ、最後にもう一回だけ上映するから、

お化けとか思わずに見てみろよ。なにかわかるかもしれないぞ。」

K「振り向いたらやばいって!」

T「・・・大丈夫。・・・振り向いたらやばいとしても・・あのペースでいくと、

あれが振り向くまでに、後数回余裕があるから。・・・幽霊なんている分けないのになぁ。」

最後の一回と言うことで見ることになった。

・・・・こいつ絶対いつか祟られるで。

私は確信した。

・・・しかし、私は大事なことに気付いていなかった。


「種に染まれば赤くなる。」


私は真剣にアレを見極めようと思った。

たぶん、もう二度と、このフィルムを見ることはないだろう。

だから、できるだけの情報を見つけださなければ。

なにかわかるかも知れない。


フィルムが回りだした。


シーン25・テイク2。

ロケ地は、後ろに沼がある市民会館一階の駐車場。

沼を背にカメラをセット。

駐車場の向こうから、男がカメラに向かって走って来る。

なぜかフィルムは全体的に赤見かかっている。

・・・男が息を切らしながら走ってきた。

殆ど全力疾走だ。

ちょうど半分ぐらい来たとき、アイツが現れる。

白い女の後ろ姿が右側からバストショットで。

髪は肩まで、白い浴衣のようなものを着ている。

ユラユラと正面に・・・。

走ってくる男は、白く透けた女越しに見えている。

女は立ち止まり・・・

そして、ゆっくりとこちらを向こうと。

横顔に。

アイツの目は異常につりあがり。

おかっぱ頭の少女。

ユラユラと顔全体が動いている。

そして、なぜか口はない。

そして・・・。

「う!」


アイツが俺を見た!


完全に振り向いたのだ。

スクリーンにアップで顔が映し出されたのだ。

目は眉の上まで避けていた。

口はやはり無い。

そして、なにより恐怖したのは目玉が動いたのだ。

爬虫類の様な目玉が!

悲鳴が上がった。

映写機が止まり、部屋は暗闇になった。

・・・A子とG子のすすり泣く声が聞こえてきた。



私「・・見なくて良かったなK。お前の作戦は正しかったよ。」

K「・・・・み、見ちゃった。」

私「・・そ、そうか。」


・・・・・・とんでもない事をしてしまったようだ。

恐怖。

・・・固まっていた。

・・・・電気をつける者すら居なかった。

                                          つづく





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