あっち世界ゾ〜ン・第弐参「不幸に愛された男・後編」

いたこ28号談


あずま「・・・一回目の事故の時にな、おかしいなぁとおもてんや。」

私「止まっているのに後ろからバイクがぶつかってくるのは普通じゃないよな。」

あずま「ちがうんや。」

私「違うんか?」

あずま「・・・バイクがぶつかってきた瞬間、結構衝撃があってなぁ。」

私「バンクといえども、いきなりこられたら、そりゃ衝撃あるわな。」

あずま「そのあとな、風呂入ろうとしたら・・・気付いたんや。」

私「包茎にか?」

あずま「違う。」

・・・さ、最高のボケだったのに

・・・・つ、つっこんでこない。

あの関西人の、誰も止める事の出来ない「性」が、突っ込んでこない!!!

これは彼に普通ではない異常な事態が、おこっている何よりもの証拠だった。

私は脳味噌を本格的に、あっちモードに切り替えた。

二人は「ボケとつっこみ」関西人コンビではなく、

恐怖の体験談を真剣に語り合うデンジャラスコンビになった。


あずま「・・・右足首。」

私「みぎあしくび?」

あずま「・・靴下履いていたからわからなかってんけどな、靴下脱いだらな・・・・感触がまだあるんや。」

私「履いてる感触がか?」

あずま「足首になんかテープが巻かれているみたいな。」

私「痺れてるのか?」

あずま「触ると皮膚の感触がへんや。」

私「鞭打ちの後遺症ちゃうか?」

あずま「・・そうやったら恐いなぁと俺も思った。でも次の日には直ってた。で、二回目の事故や。」

私「駐車場でのやつか。」

あずま「止まってるのにまたぶつかってきよった。・・・オバハンは運転するな。」

私「相手はオバハンやったんか。

あずま「ほんでな、その日の夜な、今度は両足首に感触があるねん。

見た目はなんともないんやけどな。」

私「おい、おい、やばいぞ。病院行ったのか?」

あずま「行ったわ。・・・鞭打ちから来る症状かもしれんて、いろいろ調べてくれたわ。」

私「結果は?」

あずま「・・・よくわからんらしい。・・・その日から日に日に感触がはっきりしてきてな。

まぁ、気になってるから、そんな気がするのかもしれんけどな。」

私「・・・・・」

あずま「でもな、その感触の意味がわかってきたんや。」

私「意味があるんか?

あずま「で、今回の事故や。・・・今回の事故は凄かった。気絶したもんなぁ。」

私「だ、大丈夫かよ。」

あずま「入院するかと聞かれてんけどな、ちょっと今忙しいから帰ってきた。」

私「あほか、死ぬぞ。病院でゆっくりせえ。」

あずま「大丈夫。大丈夫。・・・で・・さっきの話にもどるけどな。

病院から帰ってきて、コタツでうたた寝してたんや。・・・そしたらな・・

金縛りになってな・・・身体が動がうごかへん。

・・・ほんでなぁ、下半身が畳の下に食い込んでいく感じが・・・」

私「・・あしくび。」

あずま「そうや!誰かに足首握られて!・・ソイツが俺を畳の下に引きずり込もうとしてるんや!

こたつ布団が邪魔で、足元はみえへん!でも、誰かが引っ張っているや!」

私「こ、こえ〜!!!」

あずま「必死になって動こうとしたら、何とか右手だけ動いた。

こたつ布団あけたらな。」

私「・・・・・」

あずま「畳に黒い穴が空いていて、

そこから白髪の爺が上半身だけ出して俺の両足首を引っ張ってやがった。」

私「うげぇぇぇぇぇ!」

あずま「その爺がなんか俺に向かって言うてるんや。必死になってなんかゆうとるんや。」

私「・・・・」

あずま「俺もパニックになってるし、その爺の声が小さいし、始めは理解できへんかった。」

私「・・・な、なんて言ってたんや。」

あずま「・・・・・・キタエナオシテヤル」

私は一瞬関西人の性でつっこみそうになった。

しかし彼の語りかたが冗談では無い事がわかっていたので・・・。

「ボケ」ているのでは無かった。


あずま「・・・恐怖で気絶したわ。」



私は「お祓い」に行く事を進めた。

しかし彼は事故のショックからの幻だと言い張り拒否した。

今でも足首に握られている指の感触があるのにも関らず。


後日、彼は叔母にその老人の事についてたずねたらしい。

・・・・足を引っ張られた話はしなかった。

叔母は腰をぬかさんばかりに驚いた。

その風貌・・・・。

彼の部屋で老人が餓死していたのだ。

この家の以前の持ち主が・・・・。


先日お祓いをしたらしい。

・・・・・ちょっとだけ安心した。



その後も彼は元気に不幸を体験しまくっている。

彼を知る人々は彼の事をこう呼ぶ。「不幸に愛された男」

これからも死なない程度に不幸を体験してね。

そして、また私を喜ばせてください。





期間限定特別企画



 期間限定!先着424242名様に!
 なんと、今日の主人公「あずまたから」が
 書いたシナリオが今なら読める。
 きっと貴方を「恐怖と笑い」の渦に。
 ここ!ここ!此処を押せぇぇぇぇぇ!



     戻る
人の不幸は蜜の味・・と言うことで次に進む