あっちの世界ゾーン・第夜 写っていなかったモノ」

いたこ28号談




祟りで死んだ悪人は本当にいるのか?呪いをかけられて殺された悪人はいるのか?

もしそうゆうたぐいの現象があるのなら・・・・・じゃ、あいつは何故死なないんだ。 

噂や話では存在していても、現実にはやはり存在しないのか? 

「現実」とゆう厳しい世界で生きている私達は、ますます心霊現象の存在に否定的になっていく。


こんばんわ、いたこ28号です。


皆さんはテレビを見ていて不思議に思う事はありませんか?

古いCMが突然流れているのを見た事がありませんか?

古いCMを流すのは契約の問題などでかなり厄介なのです。

にもかかわらず流すのは、かなり困った事が起こったから。

最低でも1500万円は制作費に費やす新作のCMが突然オンエア出来なくなる理由・・・・。


1.完成したCMをスポンサーが気に入らなかった。

*打ち合わせ時とは違う物が出来上がっていた。


2.オンエア前に出演していたタレントがスキャンダルを起こした。

*危ない薬をやるとか、吸うとか、etc・・・。


3.撮影したフィルムが使えなかった。

*機材やフィルムの事故、現像ミスなどでフィルムに何も映っていなかった。

*余計なモノ(通行人、霊?)が映っていた。

*あるものが映っていなかった。


余計なモノが映る話は噂等で皆さんも良く聞かれると思います。

今回の「あっちの世界ゾーン」は、

あるものが映っていないためにオンエア出来なかったCMの話です。

もちろん今回も「 実 話 」です。




は誰でも知っている女優だった。

大物タレントにもかかわらず気立てが良く、彼女の事を悪く言うスタッフは誰もいなかった。

今回の撮影は有名な食品のCMだった。

なんの問題も無く撮影は順中に進みスケジュール通りに終了した。


次の日、ラッシュを見た演出の吉田(仮名)は言葉を無くした。

カメラマンの川上(仮名)は、吐きそうになり試写室から飛び出した。

プロデューサーの梅木(仮名)はPMに、直ちにKのマネージャーに連絡しろと狂ったように叫んだ。

彼らにパニックを起こさせたのは、女優Kがコーヒーを飲むアップのシーンだった。



Kのマネージャー川端(仮名)が、試写室に入ったのが5時間後の夜の10時過ぎだった。

試写室にはスポンサーや代理店のかなりの役職の人達が集まっていた。

重苦しい空気が川端に襲いかかった。

「やぁ。」

力無く梅木が川端の方に歩いてきた。

そして川端を一番前の席に座らせた。

ラッシュ試写が始まった。

そこに映し出されるKは素晴らしかった。

川端はKの女優としての素晴らしさを改めて確信した。

・・・・しかし何かが変だ。

スタッフ達を恐怖させた問題のコーヒーのシーンになった時、彼も嗚咽に似た声をあげてしまった。

「ば、馬鹿な!」

Kの美しい横顔のアップだった。

しかし無いのだ。

あるべき物が無いのだ。


・・・彼女の右の耳が。


耳があるべきところには、小さな穴しかなかった。

実はそのカットだけではなく、すべてのKがでているカットには右の耳がなかったのだ。



数ヶ月前までスケジュールが詰まっている女優K。

最初のオンエアまでに、CMを局に納品する事は不可能になった。

スタッフ達は川端に、この件はKには秘密にする事を誓った。

当然外部の人間に話す事は特に強く口止めされた。

川端はKに、「カメラ機材の故障で撮り直しになった。」と嘘をついた。

再撮ができるまでの期間中、昔のCMが代りに流される事になった。

そして、なによりも企業イメージを大切にするスポンサーの圧力により

いつもの様に事件は闇に葬られた。

・・・・フィルムとともに・・・・。



数週間後

再撮のラッシュ試写中に、

Kの右の耳が今度はちゃんとあることがわかり、スタッフ達から歓声が上がった。

川端は静かにため息を付いた。


今回の話はあまり恐くありません。

そのフィルムを見る事が出来れば、かなり恐ろしいと思いますが・・・。

しかし、

私はある事実の為にかなり恐ろしい話の一つになっているのです。

その事実とは?

「再撮」(撮りなおし)になった紛れもない事実を知っていたからです。

CMの再撮には最低でも1000万以上のお金がかかります。

だから誰かが責任をとらなければならないのです。

あるビールCMでは、タレントの大麻事件(あのパンツ事件)で、

キャスティングしたと言う理不尽な理由で、代理店の社員が左遷されました。

(このCMは、数億円かかっていましたが・・・。)

左遷、ホサレル制作会社、スタッフ等を必ず出さなければならないのです。

この世界で生残る為に・・・・。

CMは世界が狭いので弱肉強食、裏切りや陰謀が頻繁に起こります。

だからミスが有れば直に話が広がるのです。

まして今回は、スポンサーや代理店の幹部が急遽集められた。

この異常な事態のため、いろんな臆測がついた噂が広がったのです。

・・・あの女優Kのスキャンダル説、etc。

まぁ、責任をとらせれる奴等がとんでもないミスをしたのだろう・・・と、・・・

しかし今回の事件では責任をとらされた人間がいなかった。

付け入るスキを狙っていた関係者は、不思議に思っていたのです。

1000万以上の無駄なお金をスポンサーに出させた理由。

理不尽だが現実にある事実。例外を認めなければならなかった事実。

少なくても数千万円のお金が無駄になったのです。

この事実と現実があった事が、とても私は恐ろしいのです。