詳しい場所は書けないが、そこは東京の桜田通りから入る細い路地の坂道。
坂の途中にはお寺と小さな墓地。上りきると某大使館が建っている。
Aさん(女性)はその坂道で異界なモノ達とよく出会う。
天気のいい日はその坂道は数分間だけ夕日で赤く染まる。
その時間帯に彼らは現れるそうだ。
ある時は
自転車のゴムタイヤがはずれたホイールの様なものが
跳ねながら音も無く坂道を上って行きゆっくりと透明になり消えていった。
ある時は
10mぐらいの上空に巨大な透明のくらげのようなモノが浮いていた。
ある時は
3mもあろうかという白く細い布がひらひらと舞いながら
Aさんを追い抜いて行き上空高く舞い上がっていった。
夕焼けで赤く染まった東京タワーをバックに
白く長い布がひらひらと飛んでいく姿は妄想的で大変美しかった。
彼女はそんな不思議な異界のモノ達を何度もそこで目撃したと言う。
その話を聞いた異界なモノ達や妖怪が大好きな友人Bさん(女性)は
居ても立ってもいられなくなり、その坂道に向かった。
夕日で赤く染まった坂道を上りきろうかというとき
前方に見える電柱の影から顔を半分だけ出している男の存在に気づいた。
髪の毛が無い。顔色がみょーに白い。いや、白すぎる。
彼女は異界のモノだと理解した。恐怖よりも好奇心でドキドキした。
妖怪マニアの彼女はハゲ男の姿から
数種類もの妖怪名が瞬時に浮かんだそうだ。さすがマニア。
男は笑いながら彼女前に飛び出してきた。
男の下半身からはムキダシノ○×△◆が(以下自主規制)
・・・どうやらあの坂道では異界なモノ以外にタダノヘンタイにも出会えるようだ。