その呪われたトンネルは大阪の「どんずるぼう」(漢字わすれた。) と呼ばれる峠にあった。 暗闇の中に、ぐにゃぐにゃ曲がった坂道が永遠と続いていた。 対向車は一台も無かった。 ・・・不気味だ。 しかし車内はピクニック気分で明るかった。 三人は大声で歌を歌ったりしていた。 後数分でトンネルに着く距離になった。 サービス精神旺盛なMは、盛り上ようとトンネルに近ずくにつれて 「後1キロです。・・・後500メートルです。」と、距離を叫んだ。 「後100メートル。 ・・・後80メートル。 ・・・60メートル、50メートル、」 曲がりくねった道路の向こうにちらちらと、 暗く不気味なトンネルの入り口が見えて来た。 「・・40メートル、30メートル、後・・」 「ドォーン!」 「キャャャャャャャャー!」 悲 鳴! 車はトンネルの前で急停車。 なにかが、天井に落ちて来たのだ。 外に出る勇気は彼女等には無かった。 N子が泣き出た。 3人はトンネルに入るのを諦めた。 ・・・入れなかった。 峠を下る車。 向かう時とは打って変り、3人は一言も喋らなかった。 K子は、後ろの座席に座っていた。 K子は、ある事を感じていた。 重苦しい「邪悪な気配」。 車の外に広がる暗闇の中に、なにかがいるのだ。 トンネルの入口で感じた「邪悪な気配」が、ドア1枚隔てた外に・・・。 邪悪な塊が、逃げ帰る車の横にどこまでも付いてくる・・・。 恐い。 K子は、窓の外を見る事が出来なかった。 「はやく、どっかにいって・・・。」 K子は、震えながら念じるしかなかった。 突然、助手席に座るN子が泣き出した。 「・・・・外になにかいる。恐い。」 N子も「気配」を感じていたのだ。 「いい加減にせいよ。」 MがN子に向かって叫ぶと同時に・・・。 闇から。 無数の子供の手が。 「パシ!パシ!パシ!パシ!」 窓ガラスを掌で。 闇から小さな子供の手、手、手、手・・・。 「ぎゃー!」 悲鳴!悲鳴!悲鳴! 車内はパニックに。 肘から上が無い無数の小さな手は、 窓ガラスを叩くと闇に消え、また別の手が現れては叩き消えていった。 何十もの小さな手が、窓ガラスを叩きつづけた。 頭を抱え泣き叫ぶK子とN子。 峠を下りきった時、子供の手は闇に消えた。 K子とN子は、ヒステリックに泣きつづけていた。 Mは2人が落ち着くまで、ファミリーレストランでコーヒーを飲む事にした。 3人は、其処で2時間ばかり過ごした。 人間は余りの恐怖の体験をすると記憶から消そうとするらしい。 K子は先程の恐怖の体験が、昔の出来事ように思えて来ていた。 「帰ろう。」 数時間前の出来事がまるで嘘のように3人は落ち着いていた。 Mの冗談に、K子もN子は笑っていた。 車に乗ろうとドアをあけたK子。 悲鳴! ヘナヘナと、その場に倒れこんだ。 ・・・・フロントとサイドガラスの到る所に 無数の小さな手の跡が。 掌の汗で付けられた無数の子供の手形が・・・。 そして、K子は、 窓の外を見るのが恐ろしくなり、窓と言う窓に中から新聞紙を貼った。 ・・・目が虚ろだった。 K子の精神は少しだけ破壊されていた。 -------------------------------------------------------- その後の情報によってとんでもない事実が発覚!!! ドンズルボウにはトンネルがないらしいという噂が(^^;・・・ウガトト。 |