あっちの世界ゾーン・第夜 「 走 る 奴 」

いたこ28号




☆★☆★728人突破記念!★☆★☆



誠に勝手ながら、今回の話は728人突破記念企画作品とさせていただきます。



こんばんわ、いたこ28号です。


「都市伝説」て、ご存知ですか?

トイレの花子さん、口さけ女、人面犬、・・・・・・

全国で囁かれる怪談話。

今回の話は、大阪のとある寮に伝わる「あっちの世界ゾーン」。

しかし、東京と名古屋のとある寮でも、同じ話が囁かれているようです。

・・・原形になった強烈な話が実在するのでしょうね。

だから、今回の話は「 実 話 」です。とは言えないかもしれないので、

今回の話は「 都 市 伝 説 」です。と言っておきましょう。(笑い)




第二次世界大戦が終わり10年あまりが過ぎたころ、

大阪芸○大学の青○寮に、一人の男が入る事になった。

彼の名前は、鎌田家事(かまたかじ)仮名。


新入寮生歓迎会でたらふく酒を飲まされ、

自分の部屋に戻れたのは、午前3時を少しまわった時だった。

彼の部屋は一階。

そこは、すべての部屋が新入生。

四畳一間、布団と本棚しか無い部屋。

彼は布団に寝転んだ。

突然!

黒い塊が自分の体の上を走り抜けていった。

「うぉぉぉぉぉ!」

叫び声をあげながら跳び起きる家事。

隣でも、彼と同じく新人の吉田の悲鳴に近い叫び声があがった。

真っ暗な狭い部屋には彼以外誰も居るはずが無かった。

次の日彼らは寮長から 奴に付いての話を聞かされた。

この時期になると毎年出るのだ。

(幽霊)が。

何故か奴は、寮の端の部屋から部屋まで走り抜けていくのだ。

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|1|2|3|家事の部屋|5|6|7|8|吉田の部屋|空き部屋|
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|   廊 下               |
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
上の図のように一階は10部屋で成り立っている。

奴は1の部屋から空き部屋まで、壁を突き抜け走り抜けていくのだ。

・・・・だから、一階の部屋は全て新人になっていた。

毎年大騒ぎになり、お祓いなどをするのだがぜんぜん効果は無いらしい。

「一ヶ月の辛抱だ。五月になると奴は出なくなる。

・・・・・ある意味では奴は君達の先輩だから。」

寮長は笑いながら彼ら新人達に告げた。

次の日の真夜中。

やはり奴は現れた。

・・・壁が小刻みに震えだした。

そして、1の部屋の男の悲鳴。

2、3の部屋から順番に悲鳴が。

家事は見た。

一瞬だったがハッキリと見た。

壁を突き抜け、黒い人の形をした奴が飛び出してきた。

目も鼻も口も無い、体も真っ黒で人の形をしているだけ・・・。

そして、再び壁の中に。

5、6、7、8、9の部屋から次々に悲鳴があがった。

この日新人全員が奴を見た。

あれから1週間、毎日奴は走り抜けていった。

だだ走り抜けるだけだが、恐いものは恐い。

新人達は集まり対策を練った。

・・・・奴は何のために走っているのか?

もしかすると・・・・・。

家事には、気になる事があった。

彼らは、家事の提案を実行することにした。

その日の夜、家事は一番奥の空き部屋で奴が来るのを待った。

・・・小刻みに震えだす壁。

一番奥の1の部屋から悲鳴があがった。

2,3,4,5,6,7,8,次々にあがる悲鳴。

そして、隣の部屋から吉田の悲鳴が。

壁から「のっぺら坊の黒い奴」が現れた。

そして外につながる壁の中に走り去っていった。

壁に消えていく奴を見て、家事は奴が二度と現れない事を確信した。

・・・・その日を最後に、奴は現れなかった。

家事は何をしたのか?

家事は寮の最後の壁、空き部屋の外側の壁に白いテープを張ったのだ。

マラソンのゴールのテープのように・・・。

奴は走りつくゴールを探していたのだ。

家事には、奴が壁に消えるとき、両手を上げたように見えた。

・・・・だから、もう奴は走らない。

家事は確信したのだった。



・・・・そして、数年後、

あの霊の姿が忘れられない家事が、あの有名な「グリコ」のマークを作った。



              






と、言う噂は、たぶん嘘である。





※常連の人がこれとよく似た話が荒俣宏氏著者「ジョギング幽霊」として
語られている。と教えてくれた。
う〜む・・・・その本を読んだ人が都市伝説として語ったんだろうか(^^





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