あっちの世界ゾ〜ン第二十五夜「狐の悪戯」

奥村紀子(真名)さん談


おちょぼの朝市に行って来ました。

野菜が売っていて、あやしげな民芸品が売っていて、あやしげな出店があるだけです。

そして、お土産に狐がついてきて、道に迷わせます。


従兄と友達が夜遅くに冗談でおちょぼまで行きました。

かなりハイになっていて、しかも、雪道を猛スピードで進んでいました。

一応、おちょぼまで行ってお参りをして、さて、帰ろうと来た道を戻りました。

ところが、雪道になったせいで、すっかり道がわからなくなってしまいました。

しばらく走らせていると、綺麗なお姉さんが車が通り過ぎるのを見ていました。

(おお、これはラッキー)

彼女がいる身で、ナンパしてやろうと、お姉さんの前に車を止めました。

「お姉さん、H市に帰る道教えてくれ」

「一緒に乗ってくれてもいいぜ」

なんていうと、お姉さんは笑って、「席がいっぱいじゃない」といいます。

5人乗りで5人乗っていました。ナンパはあきらめ、道を素直に聞きました。

「まっすぐいくと突き当たるから、そこを左に曲がるのよ」

「ありがとうございました」

御礼を行って車を動かしました。

バックミラーで後ろを見ると、お姉さんが手を振っていました。

さて、お姉さんにいわれた通り突き当たったので、左に曲がりました。

ところが、なぜかお姉さんが先にいるではないですか。

よくまわりを見ると、戻ってきてしまったようです。

もう一度、お姉さんに道を聞きます。

やはり、同じことをいいます。

「右と左を間違えたんとちゃう?」

友人たちはそういいます。

そして、再び突き当たって左にまがると・・・・お姉さんが。

そこで、全員、気付いたのです。

化かされていることに。

そして、今度は突き当たったら右に曲がりました。

そうして、従兄の家に無事ついたのです。

次の日、お姉さんがいた辺りに行きました。

お姉さんだと思っていた物は、雪だるまでした。


おしまい





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