真・あっちの世界ゾ〜ン・第六十四夜「コンビニの珍客(あっち編)」
三堂りあるさん談
どうも、三堂りあるです。 自分は大学生活のほとんどのバイトをコンビニの夜勤で過ごしてきました。 コンビニは24時間営業しています。 いろいろな事情の人が寄っていきます。 それは街灯に集まる夏の夜の虫のようです。 でも集まるのは人間だけじゃないのかもしれません。 これは俺がまだファミリー○ートでバイトしていた頃の話です。 季節は冬。 めっちゃくちゃ寒い夜の2時頃。 仕事をかたづけて客もいないので暇だった俺は「モーニング」を読んでいました。 ふと外を見ると、その店の前は県道が通っていて(車の通りが多い)、 信号はないのですが横断歩道が店の前に通っています。 その横断歩道の向こう、通りの向こうに、おばあさんがいました。 「車の往来が多いから待っているのか。すぐに渡って客として来るな。 めんどくせーな。こんな時間に来るなよ。非常識だろ?」と思っていると、 なかなか来ません。 あれっと思って外を見るとまだ同じところにいます。 自動ドアを開けて外に出て通りを確認すると上りも下りも車は通っていません。 つまり横断歩道はすぐにでも渡れるわけです。 なのにそのおばあさんは渡らずに寒風吹きすさぶ中、じっとうちの店を見ているのです。 怖いので店に戻って「モーニング」を読んでました。 そのうち、牛乳やサンドイッチのトラックが来たので仕事を再開しました。 終わったのは一時間後くらい。 何気なく外を見ると、あのおばあさんはまだいます。 じっと店を見ているのです。 気になったのでこっちもじっと見てみました。 怖いくらいぴくりとも動かずじっとこの店を見ています。 人形だったなんてオチではありません。 なぜなら俺はこの後近づいて話しかけてみたのです。 「どうかなさったんですか?」って。 おばあさんはちょっと俺の方を見ましたが、すぐに店の方を見始めました。 結局、朝の5時くらいまで店の外でじっと見続けていました。 ふと見るといなくなっていました。 かなり寒い日に3時間以上も店をただじっと見ていたのです。 人間とは思えないほど不自然な存在でした。 |
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