あっちの世界ゾ〜ン第七十壱夜「彼女の中に誰かがいる」

kouさん談



この話は私が22歳の頃の体験です。

私には、霊感は無く、たった一度の霊体験と呼べるものです。


その頃私は、バイト先で知り合った19歳の子と付き合ってました。

その日は彼女の誕生日で、カラオケBOXに行ってお祝いをしました。

彼女はいつもにも増してガンガン飲んでいき、

その内、彼女は飲み過ぎで、自分で立つこともできなくなってきました。

私は酔った彼女を車で自分の部屋まで運び、やっとのことでベッドの上に寝かしました。


私がベッドの横に座ってタバコを吸っていると、

「フフフッ、へへへッ」と小さな笑い声が、聞こえてきました。

それは、彼女の笑い声でした。

良く聞くと何やらブツブツ言ってます。

彼女は寝言の多い子だったので大して気にも留めず、

何か楽しい夢でも見ているんだろうと思ってました。

彼女の小さな笑い声がいつまでもつづくので、

その寝顔に向かって「楽しそうやな」と言った瞬間でした。

もちろん返事が返ってくるとは思っていませんでしたが、彼女が目を開きしゃべり始めました。


「この子は、お前の物になった訳じゃないぞ」

私の目を見てそう言いました。

「何、お前起きとったん?何言いよん?」

いきなりしゃべり出したのに少々驚きましたし、

何よりも、その言葉の意味が分かりませんでした。

「どういう意味?」

もう一度聞きました。

「この子は俺の物だ、お前には渡さない へへへへへへッ」

と彼女は言いました。

私は、一瞬、別れ話を始めたのかと思いましたが、

それにしては、しゃべり方が男言葉になってるし、別れたいにしても、話がちょっと変だ

「分かった、こいつイタズラしてるな!」と心の中で納得し、

少しイタズラに付き合ってやろうと思い

「この子は俺の物じゃ、誰にも渡さんぞ、お前は誰じゃ?」

怒った口調で言いました。

するとその瞬間、彼女の体がスーとベッドから20cm程浮き上がり

「俺はこの子を、小さな頃から守ってきた。手を引かんと酷い目に合わせるぞ」

と言ってから、又、ベッドにスーと降りました。

私には目の前で起きたことが理解できません。

自分はマジシャンではないし、彼女もそうです。

ただ一つ、直感的に思い浮かんだのは

「ヤバイ、この世のもんじゃない」

彼女はまだ「へへへッ ウフフッ」と笑ってます。

その時には全身に鳥肌が立ち、ガタガタ震えてましたが、

勇気を振り絞り、彼女の上に馬乗りになり

「オドリャー、ふざけんなー 勝手なこと言うな ここは俺の部屋や 出て行けー」

と叫び、彼女の肩を持ってグラグラと揺すりました。

それでもまだ、「へへへッ ウフフッ」笑ってます。

私は最後の手段に彼女の頬を力一杯引っ叩きました。

すると彼女が驚いたように目を覚まし、「イター 何するん?」と

怒ったような不思議そうな顔で私を見上げました。

その時の目は明らかにさっきまでとは違ってました。

私は彼女に今まで事をすべて話すと彼女は別に驚くわけでもなく

「そんなことええやん、眠いけん寝よ」

と言って寝始めました。

何かを隠しているようでした。

こんな事があってすぐ眠れるはずが無く考え込んでいると又、さっきのように

「へへへッ ウフフッ」と彼女が笑い始めました。

「来たな」と思いました。

私はそいつに向かって

「勝手に彼女の体を使うな、男やったらせこい事すな!」

と言うと彼女の笑い声がスッと止みました。

その代わりに部屋の北側の隅にそいつがいるのがハッキリと分かりました。

目には見えませんが殺気を持った目が自分を睨んでいるのが分かります。

目をそらしたらやられる。

そんな感じでした。

私はそいつから目を離さずに彼女を揺り起こしました。

あっさりと彼女は目を覚まし、それと同時にそいつの気配は消えました。

私は彼女に今まで事を話し、何か知っていることがあるだろうと問いただしました。

すると彼女はポツリポツリと話し始めました。

小さな頃二人のオジさんの霊と遊んだり、話をしたりしていたこと、

大きくなるにつれて見えなくなってきたけど近くにいるのがハッキリ分かること

自分に彼氏ができると必ずその男に霊が危害を加えていたこと、

これ以上付き合っていけば、私にも何か起きるであろう事

私は、彼女に除霊に行くように薦めましたが、

「あの人達(霊)が、嫌がってるから行かない」の一点張りでした。

その後、この事が原因でうまく行かなくなり、すぐに別れてしまいました。

もしかしたら、手の込んだ別れ話だったのかもしれません。


女性の方教えてください。


あなたは男と別れるためにこんな事しますか?

しかもベッドから体を浮かせる事ができますか?




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