あっちの世界ゾ〜ン第九十五夜「後部座席」

秋坊主さん談


こんばんは。秋彼岸の真っ最中で忙しい、秋坊主です。

皆さんは、狭い車の中に、ぎゅうぎゅう詰めに乗った事がありませんか?

そんなときに、運転席や、助手席などの、前側の席に座った場合、

後部座席に座っている人のひざに、椅子越しに、背中を押されたことは、ありませんか?

私が、そんな状況にあったら、後ろの奴に、文句を言うことでしょう。

今回は、そんなお話です。



あれは、お盆も終わり、久々のお休みをもらって、友人と共に遊んだ、帰り道での事です。

その友人の家から、私の家までは、約50キロ。(しかも、ひたすら、山道)

車で、1時間弱の距離です。(ちなみに、北海道です)

時間は、夜の12時を過ぎていました。

疲れも手伝って、かなり眠たかったので、テープを聞きながら、一人ぼっちで帰ることにしました。

そのとき、車にあったテープは、なんと、「稲川順二の怖い話」、これだけでした。

いま、思えば、これがいけなかったのかも。



眠らない様に注意しながら運転していて、しばらく経ったころでしょうか。

視界の右側に、何かが見えました。

チラッと見てみると、車と同じスピードで並走する「小さな白い光」でした。

でも、このときの私は、眠さゆえの幻覚だと思い、無視して走りつづけました。

そして、気付くと、その光は、消えていました。

ちょうど聞いていたテープの片面が終わったときでしょうか?

背中に、変な感触を感じます。なんか、押されている感じです。

後ろの席の奴に文句を言おうとしたとき、気付きました。

この車の中には、私一人しか居ないことに・・・

いままでの眠気が、一気に覚めます。

相変わらず、稲川順二が怖い話を続けています。

そして、背中もなにかに、押され続けています。

こんなとき、あなたは、どうしますか?

私は何も出来ませんでした。

バックミラーで後ろを確かめることさえも・・・

頭の中にあるのは、「怖い」という感情だけ。

車を止めて、逃げ出そうにも、ここは山の中。

人影が、あるなんてことは、ありません。

ただひたすらに耐えながら、運転しつづけました。

ようやく、町の明かりが見えるころになると、背中の感触も消えていました。

時間にして、どれだけ押されていたのか?

パニックに陥っていた頭では、全く理解できませんでした。

家についた私は、眠さが復活して、あっという間に寝てしまいました。



これで私の体験談はおしまいです。

背中にあざでも残っていれば、面白かったのでしょうが、そんなことは、ありませんでした。

後日談ですが、実は、次の日も、友人たちと遊んで、帰りが遅くなりました。

結局、同じ時間帯の、同じ道を走ることになりました。

そのときに、また、背中を押されてしまったのです。

もちろん、車には私一人。

でも、二回目だったせいか、恐怖もあまり感じず、

ほっといたら、消えてしまいました。

いったい、背中を押していたのは、何だったのか。

私には何もわかりません。

(後ろで押していたのが、ゼビン星人だったら、面白かったかも・・・)




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